第30話 家庭教師 サラン・マルモット


 第30話 家庭教師 サラン・マルモット


 ピンクのショートカットが可愛い、幼女体形の小柄な女性が長い白衣を着て入ってきた。黒縁の丸メガネが顔には大きすぎるように見える。


 アルケミストは、ゲームの中では錬金術師のようなイメージであったが基本的には同じようなもののようであった。しかし、薬の調合から、武器や防具への付与魔法なども行うようで学ぶことは多かった。


 まず、この国の魔法学校について話をしてくれる。


 魔法学校には、生活魔法、攻撃魔法、防御魔法、付与魔法、使役魔法など学科があり通常は一生に一科目を決めそれを覚えて使用できるまでに一生を終える人がほとんどであるとのこと。


「だから、ユウキ様のお父様のように魔導師になられる方は魔法の中でも2~3種類。賢者様で4種類ほど使える方になります。大賢者と呼ばれる方がどのくらいか分かりませんが、すべての魔法を使用できる人はこの世にはいないです。」


 僕の父親のことは尊敬してくれているようで、父親の話になると特に力が入っていた。


「薬草についてですが、基本的にはすべての薬草が薬になれば毒にもなります。


アルケミストと呼ばれるものが正確に調合して初めて薬になります。」


「調合に失敗したり、意図して毒を生成しようとすると同じ薬草でも毒になります。」


 薬草の種類について説明してくれ、実際に乾燥した薬草を調合したりしながら教えてくれる。


 さすがに薬の話だけで一日が終わってしまった。サランは、集中したら止まることを知らないようで夜が更けてしまった。母親の提案もあり、一緒に夕食を食べ今夜は屋敷に泊まり明日も授業をしてもらうことになった。


「ごちそうさまでした!ママ、パパ今日は早く寝ますねっ!」


 4歳になり体の成長が大きくさすがに母親のベッドで一緒に寝ることはやめて自分の部屋を用意してもらっていた。特訓にも気兼ねなく出かけられるのも考慮してである。


 いつもは食事のあと、魔法の練習に出かけるのだが、先日のハルクラインからの薬草学で頭が疲れてしまい今日は早めに寝ることにした。


 ガサ・・・


 ゴソッ・・・


 モゾモゾ・・・


 横になって、しばらく寝ていたが物音と何かが布団に入ってきた感触で目が覚めてしまった。


 顔の前まで、もふもふっとした髪の毛がきたため、鼻がむずがゆくなってしまった。


「あっ・・・ふにゅぅ・・・」


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る