花とお菓子と不審者と
第1話 不審者
切り立った崖の上に、誰かが立っていた。
目下にあるのは、魔界を統べる者―—魔王が住まう城がそびえ立っている。
それをさらに高い場所から見下ろしながら、『彼』は呟いた。
「四大精霊の祝福を受けた人間か……、面白い。まあどんな者であろうが、我が前に屈しない女はいないがな」
唇の端を持ち上げ、まだ見ぬ噂の人間について思いを馳せる。どうやらこの人物は、自分の魅力に相当の自信があるらしい。
首元でまとめた長い黒髪が、風を受けてなびく。
彼は浮かべた笑みを消すと、小さく呪文を唱えた。その足元に小さな風が集まった瞬間、崖の上から彼の姿は消えた。
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