本庄と学務
うちの大学の学務は割と真面目にクソである。無能の一言である。
だがそれはうちの大学だけではない。どこの大学でも割と無能は無能らしい。うちの大学は有能だという話を聞いたことがない。いろいろ聞いたところによると私立の方がまだマシらしい。
だが小さい大学の学務のクソさを舐めてはいけない。でかい大学は、沢山の学生の要望や何やらを捌いているうちにそれなりの無能(なんだよ、それなりの無能って)に昇格することができるが、小さい大学は全くもってダメだ。
いや、もちろん、見えない仕事が多いのは確かなんだけど。失敗した時しか日の目を見ないお仕事ではあるんだけど。
それにしたってちょっと無能すぎるで。
某巨大台風が近づいてきた時のことである。毎回毎回、暴風警報が出るまでだんまりを決め込み、出たら出たでだんまりを決め込み、授業をやるのがうちの大学なのだが(詳細は「本庄と暴風警報」を参照)、その時に限って、前日から休講を決めたのである。我々学生は、珍しく学務が有能だと喜んでいた。
だが有能は長くは続かない。
巨大台風は気象庁の予測通り莫大な被害をもたらし、田舎のインフラは軒並みやられた。大学近辺は停電した。断水もした。
台風が過ぎ去った翌日、もちろん休講になるわけがない。停電の中で。我々は嘘やんと叫んだ。
学務の主張はこうである。
「大学には発電機がありますから授業はできます」
そんな話してねーよ。こちとらシャワーも浴びてないんじゃい。じゃあ実験室のシャワー使おうか? 薬品を浴びたとき用の、排水溝が無くてただ床が水浸しになるだけの緊急シャワーをな。
教養の時は有能だったのに……。
そう、教養の時はめちゃ有能だったのだ。何もかも先回りして仕事をするすげぇお姉さんがいて、文学部出身なのにマウスを解剖でき、細胞分裂に死ぬほど詳しいお姉さんである。
ていうか生物の教授の雑用係にされているうちにできるようになったらしい。門前の小僧状態で細胞分裂を理解し、顕微鏡を覗いたらどの細胞かわかる能力は相当すごいぞ。
かと思ったら二年からはなんだ。何もかも遅くて(送ってくるメールが日本語じゃないので学生はイライラしっぱなしである)、色々間違えて、ときたま提出物を失くす。こんなはずじゃなかったと頭を抱える羽目になるのだ。
学務が奨学金の手続きのメールを出し忘れてた時は、あやうく本庄の奨学金が止まるところだったのでヒヤヒヤした。
「えっ、メール出したよね?」
それ、本庄が問い合わせて、メール出し忘れたことに気付いて、そのあと慌てて送ったメールだよね? 知ってるよ。露骨だから。
どこの大学も、学務は派遣の人が多くて入れ替わりが激しく、業務を覚えた頃には別の会社に行ってしまうのでずっと無能ばかりが揃う、という話は聞いたことがある。
だから、学務の人を責めてもしょうがないのかもしれない。
しかし本庄は、某企業において、無能社員の左遷先として弊学が指定されている、という噂を割と信じている。そして一番の無能は、学務の人件費を削った前学長だと思っている。
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