第66話 拘束
マリがモネの元へ到着すると、モネは部屋の中心で腕を組んで立っていた。モネはシロを目の前に座らせ、マキを自分の元へ運んだ。
そしてマリにはシロの目隠しを外すように命令した。
目隠しを外されたシロは何分ぶりかの光に目をくらませたが、少し時間が経つと正確に目が見えるようになった。
その目の前にはマキを抱きかかえているモネの姿が映った。
「久しぶりね、シロちゃん」
「あんた・・・また私からマキちゃんを奪う気?」
「えぇ、今回は前みたいにはいかないわよ。マリ」
「はい」
「シロちゃんを拘束しなさい」
「了解しました」
そう言うとマリはシロに手錠の片方をシロの右手首に掛け、もう片方はドアノブに掛けた。
左手首にも手錠をはめ、隣にあったコート掛けの棒にもう片方の手錠をはめた。
これでシロは手の自由が封じられ使えるのは足のみとなっていた。
その姿を見るなりモネは笑い始めた。
「あはははは!!シロちゃん、あなたにはその姿がお似合いだわ」
「私はどうなっても良いからマキちゃんをその汚い手から離せ!!」
「んふふ。い、や。マキちゃんはこれから私のものになるの」
「そんな事、させない・・・!」
「その状態でどうやってマキちゃんを助けるって言うのよ。それなら時間をあげましょうか?あっても意味はないでしょうけど」
「こんなもの・・・すぐに破壊して・・・!」
「あははははは!!ねぇ、聞いた?破壊する、ですって!」
シロは必死に手錠を外そうと何度も何度も強引に腕を引っ張った。
その度に部屋中にガシャガシャと金属音が鳴り響く。が、手錠は一向に取れる様子がしない。
シロも段々と疲れが見え始め、5分後には地面に座り込んでしまった。
それを見るなりモネが白の目の前まで歩いて行った。
「ほら、だから言ったじゃない絶対に無理だって。所詮あなたは力も何もないただの同居人にすぎなかったのよ。あの菜々とか言う人みたいに知識があるわけでもなく、かと言って力もない。あなたはマキちゃんの近くにいるだけで邪魔な存在なのよ」
私の存在が、邪魔・・・。その言葉にシロは言葉を失い、地面にうなだれてしまった。
しかし、そんなことをモネは許すほど甘くはなかった。マリに隣に行けとジェスチャーを送ると、マリは一旦隣部屋に入って行った。
数秒後、戻って来た時マリはバケツを持って戻って来た。そして次の瞬間、マリはシロに思いっきり水を掛けた。
すると、先ほどまでうなだれていたシロの意識が再び戻って来た。それを確認すると、モネはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ねぇ、シロちゃん。あなたもうキスはしたかしら?」
「・・・してないわよ」
「そうよね、それが普通よね」
「ねぇ、あんたもしかして」
「別にあなたがした事ないのはあなたがしてこなかったからでしょう?今までの関係に甘えて生活していたから」
「辞めて、お願い・・・」
「そんなこと言われても、この思いは止められないわ」
「辞めて・・・辞めてぇええええええ!!!」
シロが泣き叫び、モネが目を瞑りまさにマキにキスをしようとした瞬間、その口は何者かの手のひらに受け止められた。
モネは唇と当たったものに違和感を感じ、目をそっと開ける。
すると、そこにはこちらに手を向けているマキの姿があった。
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