第65話 拉致
遡る事数時間前、マリが家でテレビを見ていた時にモネからメールが届いた。
今すぐに私の隠れ家に来いという催促のメールだった。
マリはそのメールを見るなり、携帯を投げ出したが一応あれでも仕事の依頼主ではあるので仕方なく仕事着のスーツに着替え、モネの隠れ家に向かった。
車を走らせる事20分、近くの駐車場に車を止め、そこから更に数分歩く。
着いた先は、事故で壊れてから解体される事もなく残っていた高層ビルだ。
立ち入り禁止の表記がされているのだが、それを気にする事なくマリは入り込んで行った。
奥に進んで行くと、受付があったであろう場所に黒服に身を包んだ男が立っていた。
その男はマリに気付くと近くに寄って行った。
「いつもご苦労様、私よ」
「これはこれはマリ様、奥でお嬢様がお待ちになっています」
「えぇ、わかったわ」
男が定位置に戻ると、マリは奥のエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターから出ると、目の前に扉が見えた。
扉をノックして、中に入るとモネが椅子に座ったまま待ち構えていた。
「急に呼び出して悪いわね」
「別にいいんだけど、今度は何があったのよ」
「菜々が薬を完成させたわ」
「え、てことはやっぱりストックが・・・」
「いいえ、昨日の時点ではなかったわ。あいつの性格上レシピを残して無さそうだったけど、今回は残していたのかもしれないわ」
「まぁ、起きてしまったものは仕方ないわね」
「そこで何だけど、おそらくマキちゃんに対してこの後薬を使うと思うの。で、その薬を使うと何らかの副作用が起こるだろうからそこを狙ってさらって欲しいのよ」
「いや、それを一人でってのは流石にきついんだけど」
「えぇ、だからここに居る三人の男達と行ってもらうわ」
「まぁ、それなら・・・」
「それじゃあ早速向かってもらうわ。おそらく薬を服用した後は自宅に戻るだろうから、そこで待ち構えて攫うわよ」
「了解」
そして現在、車の後ろにマキとシロに目隠しをさせた状態で乗せて車を走らせている。
私としてもこういうのはあまりしたくはないのだけれど仕事だから仕方ないのよね・・・
走らせること20分、目的地にたどり着いた。二人を連れ、マリはモネの元へと向かって歩いて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます