第44話 モネ

シロと菜々は二人でモネを呼び出した喫茶店に向かっていた。

喫茶店が近づくにつれ、シロの心臓の鼓動は早くなって行った。

菜々はというと、いつものように落ち着いた様子で歩いていた。今から起こることを考えると、怖くてたまらない。

でも、今後のためには絶対にいなければならない。

喫茶店に着き、ドアを開けると奥の席から身を乗り出してこちらに手を振って来るモネの姿があった。

そっか、今から起こることをなにも知らないからあんな態度取れるんだ。


「もう、遅いって!」

「ごめんなさい、ちょっと準備に戸惑っちゃって」

「久しぶりね」

「・・・どなたですか?」

「この人は菜々さん、マキちゃんの同僚よ」

「はぁ、その人が言った何の為に・・・」

「あなた、小さなSDカードみたいなの父親から貰わなかったかしら?」

「え?貰いましたけど、よく知ってますね」

「それ、私の大事な実験内容の入ってカードなの!できれば、返して欲しくて」

「えええ!!??す、すみませんすぐに返しますね!!」

「ありがとう、モネちゃん」

「あ、でも今ありませんでした。家近いので一旦帰って持って来ますよ」

「えぇ、それも大事ね。でも、まだやることがあるんじゃ無い?」

「な、何のことですか・・・!」

「とぼけないで、今持ち歩いてるでしょう?」

「ち、ちょっと菜々さんそんな言い掛かりは・・・」

「確証があるのよ、多分彼女は今日持って来ている。何故なら、私たちが来ることも事前に分かっていたからよ」

「どう言うこと?」

「あのカードは私の携帯とデータの連携をしていたのよ。そして、ここの近くで繋がっているのもさっき調べてたから分かってたし」

「・・・」

「だから私たちの動きに合わせて動き、あたかも先に来ていたような雰囲気を出せば疑われる確率も低くなるだろうとは思っていた。

しかし、唯一の誤算だったのは私がシロを呼んだこと」

「え、私?」

「えぇ、あなたがいるとモネは苦手なものが増えるし、才能もとられそうだった。」


私とシロが真面目に話をしている中、モネは暇そうに携帯をいじり始めた。


「とりあえずデータ返してもらえなかしら?」

「あ、はい。どうぞ」

「え、あ、ありがとう」

「いえいえ、これでいいですか?」

「え、えぇ」

「それじゃあ私用事があるので先に帰りますね、お疲れ様でした!」


そう言うとモネは走ってどこかに消えてしまった。

まぁ何はともあれデータが帰って来てよかった。早速中身の確認しておかないと。

菜々は持って来ていたノートパソコンを開き、メモリーをパソコンに差し込んだ。

・・・あれ?メモリーの中には実験情報とは別のデータが入っていた。

その他の場所を見ても入っているのはそのデータのみだった。

まさか、嵌められた!?ってことは、本物は別のメモリーにある!くそっ!見事にしてやられてしまったわ。

この借り、今度きっちり返させてもらうわよ。

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