第342話 プレゼント選びと私
※ツッコミ役不在でお送りいたします。
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やって来ました、デパート! あぁー人が多い。超インドア派の私にはキツイ。人酔いしそう。男性の視線が気持ち悪い。先輩がいないと不安。
でも、頑張らなければ! 先輩の誕生日プレゼントを選ぶ必要がある。
今日は私一人じゃない。お姉ちゃんがいるから心強い。絶対に離れない。トイレに行くときもついて行こうっと。
「お姉ちゃん! まず向かう場所は?」
「もちろん、リボンを売っているところよ!」
「了解であります!」
ピシッと敬礼し合って、私たち姉妹は突撃する。
リボンを買い目的は、身体に巻き付けるため。『先輩どうぞ♡』って誘惑したら、あの超絶ヘタレのお馬鹿も襲ってくれる……はず。たぶん。
想像したら恥ずかしくなってきた。気絶しないよね? しそうだなぁ。
顔あっつ。身体あっつ! か、考えるのは止めよう。頑張れ、未来の私!
リボンは沢山の種類があった。単色系のものから、カラフルなもの、レース状だったり、柄がついているものもある。どれが似合うかな?
「やっぱりピンク系? 白は……ないかな」
「濃い紫。青。黒もありね。緑や赤は……似合わないわ」
「黄色は、う~ん……。いくつか買う?」
「それもそうね。何回も使えるし、バリエーションは多い方が良いわね。手首をリボンで縛られるのも、首に首輪みたいに結ばれるのも良いかも!」
なん……だと!? その発想はなかった。良い。とても良い。参考にさせてもらおうっと。お姉ちゃんも一緒に、姉妹で縛れれるのも良いかも。
心のアイデアノートにメモメモ。
いくつか籠に入れてお会計。さて、次はどこに行こう?
先輩が欲しがるもの。普段使っているもの。えーっと、エプロン?
「エプロンとかどう?」
「エプロン。良いわね。ピンクのフリフリのエプロンとか似合いそうじゃない?」
ぽわ~ん、と想像してみる。ピンクのフリフリのエプロンを着て料理する先輩。
「ぐへへ……可愛い。恥ずかしがる先輩が可愛い。採用!」
というわけで、私とお姉ちゃんはフリフリのエプロンの捜索の旅に出た。
でも、なかなか見つからない。普通のエプロンしかない。
それもそのはず。フリッフリのエプロンは、どちらかというとコスプレだ。あちこち回って、コスプレ衣装のお店で発見した。
フリフリの可愛らしいデザインのエプロン。それを着た先輩を想像して、私とお姉ちゃんはニヤニヤしながらお買い上げ。
絶対に似合う。写真撮影会を開催しなくては!
楓ちゃんを呼んだら喜ぶかなぁ。相談してみよう。
いろいろ歩き回って疲れたので、椅子に座って休憩です。
「まともなプレゼントを贈りたいわね」
「えっ、お姉ちゃん。今までのがまともなプレゼントじゃないってわかってたの!?」
「どういう意味かしらぁ~妹ちゃ~ん!」
「
お姉ちゃんによって、頬がみにょ~んと引っ張られる。痛い痛い。止めてぇ~! 放してぇ~!
ぷくーっとお餅のように真っ赤になった頬を優しくナデナデする。あぁー痛かった。
お姉ちゃんはプンスカ怒っている。
「もう! 失礼しちゃうわ! お姉ちゃんは大人なの! ちゃんとわかってるの!」
意外だ。おっと! 心を読まれたみたい。キッと睨まれちゃった。
まともなプレゼントか。何が良いかなぁ。先輩が喜ぶプレゼント。ふ~む。フェルマーの最終定理くらい難しいなぁ。果たして、解は出るのか?
「あれ? そこのお二人さんどうしたの?」
「気分悪い? 何か飲み物でも買ってこようか?」
先輩が喜ぶもの、先輩が喜ぶもの、先輩が喜ぶもの……私の笑顔? 自意識過剰か。多分喜んでくれるけど。じゃあ、ハグ? キス? いつものことか。これも喜んでくれると思うけど。
「おーい。聞いてるー?」
「俺たちのこと無視しないで―」
食べ物系は却下。どうせ先輩が美味しい物を作ってくれるから。
出来れば、普段使ってくれるものがいいよね。冬だから、防寒着? 手袋やネックウォーマー。確か、冬が来る前に新しいのを買ってた。これもダメか。
んっ? 腹巻き? ありかも。一旦保留。
「お姉ちゃん、先輩が普段使っているものといえば?」
「エプロン、靴、制服、下着、靴下、ハンカチ……お? 妹ちゃん!」
「おぉー! ナイスアイデアお姉ちゃん!」
「姉妹だったの? チョー美人の姉妹じゃん!」
「俺たちさ、給料出たばかりだからさ、いろいろ買ってあげるよ?」
靴下やハンカチって良くない!? プレゼントにはピッタリ! 色違いで私たちも買えるかも! お揃いに出来る。
下着は……ボクサーパンツ! パンツは保留。一応お店を覗いてみよう。良いのがあったら買う!
「お姉ちゃん行こっ!」
「ええ!」
私とお姉ちゃんは、目の前の物体を軽やかに避けてお店へ向かう。でも、私たちの行く手を阻むように、その物体が通せんぼした。
「ちょっとちょっと! 無視は酷くない?」
「傷ついちゃったなぁ~」
無言で避けようとするが、また遮られる。
あぁーイライラする。今すぐ目の前から消えて欲しい。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
限界を突破。対ナンパモードへと移行。先輩が言うには、ヤンデレモード。
「邪魔」
「退いて」
瞳を据わらせ、ものすっごく低い声で私たちは一言だけ述べた。目の前の物体は、ピキっと固まって動かなくなる。
私たちは、石像のことなど綺麗さっぱり忘れて、手を繋いでお店に向かう。そして、ハンカチや靴下を悩みに悩み抜いて買うことが出来た。プレゼント選び完了。
先輩! プレゼントを楽しみにしててくださいね!
パンツも買っちゃいました! 超ピンクの大量の桜の花びらの柄。
ネタですけど、穿いて見せてください! 似合うと思いますよぉ~! ぶふっ!
先輩の誕生日であるクリスマスが楽しみです。
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