第171話 癒しの枕の後輩ちゃん
クラス会が終わり、やっと家に帰りついた。
なんか久しぶりの我が家って感じがする。
寝不足で疲れがたまっている身体を無理やり動かし、部屋の中に入っていく。
「たっだいまですー!」
後輩ちゃんはなぜか元気だ。その元気を分けて欲しい。
「………………おかえり後輩ちゃん」
「はい! 先輩もお帰りなさい!」
「………………ただいま」
俺たちは、手洗いうがいをして、習慣になっているお帰りのキスをした。
いつものように後輩ちゃんが恥ずかしそうに頬を染める。いつもなら俺も真っ赤になるところだが、今日は疲れてそれどころではない。
「………………あぁ、もう、限界」
俺はトボトボと寝室へ向かい、ベッドにバタンと倒れ込む。
あぁ…ベッドだ……後輩ちゃんの香りがするベッドだ。
もぞもぞと動いて、ちゃんと横になった。これでいつでも寝れる。
もう動きたくない!
目を瞑って寝始めようと思ったら、後輩ちゃんがベッドに入ってきた。
横になった後輩ちゃんが悪戯っぽく微笑んでいる。
「先輩。お疲れですね」
「………………大変お疲れです」
「では、癒してあげましょう!」
「んっ!」
俺は両手を大きく広げる。説明はいらない。後輩ちゃんならわかるはず。
「先輩専用超絶可愛い安眠抱き枕へチェ~ンジ!」
後輩ちゃんが俺の腕の中に転がり込んできた。
温かなぬくもりと、甘い香りが俺を癒してくれる。
「「むぎゅ~!」」
あぁ…これこれ。この抱き枕だよ。抱き心地最高。癒される…。
疲れ切った俺は、後輩ちゃんの背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめる。
後輩ちゃんの身体は柔らかい。薄着だから肌の柔らかさが直接伝わってくる。
う~ん。昨夜は沢山恥ずかしいエピソードを暴露されて揶揄われたから、ちょっとくらい甘えてもいいよね? 精神的に疲れた。後輩ちゃんには責任取ってもらおう。
俺はもぞもぞと動いて、少し下へと移動する。
そして、むぎゅッと後輩ちゃんに抱きついた。
顔を後輩ちゃんの身体に押し付けて、スリスリと擦り付ける。
「………おぉ! 先輩が私のおっぱいに顔を擦り付けてます!」
「顔の辺りは胸じゃないはずだ!」
顔を埋めたまま抗議をする。
丁度頭のところは胸かもしれないけど、顔を擦り付けているのは鳩尾の辺りだ! 胸じゃない!
ちょっと胸に顔を押し付けてみようかなぁ、とも思ったけど、後輩ちゃんが気絶しそうだから止めておいた。多分、今はこれがギリギリだと思う。
後輩ちゃんの鳩尾辺りにグリグリと顔を押し付ける。そして、頭に感じるブラと胸の感触……。
俺もお年頃の男なのです!
後輩ちゃんは気づいているだろうが、拒絶する気はないらしい。
俺の頭を優しく撫でてくれる。後輩ちゃんは性女だ…………間違えた。聖女だ。
「………珍しいですね。先輩がこんなに甘えてくるなんて……。と思ったら、一昨日の夜もこんな風に甘えてきましたね。酔っぱらって幼児退行した先輩は可愛かったです」
「………俺専用超絶可愛い安眠抱き枕の後輩ちゃん。お口にチャックして、忘れようか」
「お口にチャックはしますけど、記憶に永久保存されています。残念でした」
楽しそうに後輩ちゃんが笑っている。
くっ! あの時の俺の馬鹿! チョコなんか食べなければよかった。
でも、俺の記憶にないのは幸いか。………………後輩ちゃんのスマホに映像が残っているけど。
後輩ちゃんが楽しそうなので、俺はちょっと悪戯を仕掛けます。
後輩ちゃんの背中に回している手をスッと服の中に入れる。そして、きめ細やかで柔らかい背筋の素肌をスゥ~と撫でた。
「ひゃんっ♡」
後輩ちゃんが可愛らしい声を上げてのけ反った。背筋がゾクッとしたらしい。
じとー、とジト目の視線を感じるけど、俺は後輩ちゃんの身体に顔を押し付けて無視する。
更にじっとりとしたジト目を感じるけど、俺は顔をグリグリして後輩ちゃんの甘い香りを楽しんで無視する。
「………………先輩?」
「んっ? どうしたんだ、後輩ちゃん?」
「なんでもありません、えっちな先輩! いいですよーだ! 今はえっちな先輩の抱き枕なんですから、胸を触るなりお尻を触るなり好きにしてください!」
「では遠慮なく」
「ひゃっ♡ あんっ♡」
俺は後輩ちゃんの背筋を直接撫でる。しっとりとしながらも、吸い付くような柔らかな触り心地………最高です。
背中でこれなら他のところはどうなんだろう? 少なくとも、お腹の触り心地は最高です! 俺はよくお腹は触っているのだ。
「く、くすぐったいです! やぁんっ♡」
「ほうほう。後輩ちゃんはスゥーっと撫でるといいのか。意外な弱点を発見」
俺は撫でるように後輩ちゃんの背筋を触っていく。ピクピク震える後輩ちゃん。
後輩ちゃんの反応が楽しくて、ずっと触っていた。
ただ撫でるのでは面白くないので、文字を書いていく。最初は、あいうえお。それからいろいろな単語。
何の単語かって? まあ、後輩ちゃんがくすぐったさとは別に、恥ずかしさで顔が真っ赤になる言葉、とだけ言っておこうか。あっ、エロくはないです。
くすぐったさを我慢しすぎてピクピクと小刻みに震え、肌がしっとりと汗ばんだ後輩ちゃんが、息を荒げながら俺をぎゅっと抱きしめてきた。
「………………ヘタレの先輩が急に積極的になりました」
「嫌か?」
「………………教えません」
「ヘタレに戻るぞ」
「………………それはそれであり…でも、積極的なのも……くっ! どっちの先輩も魅力的過ぎます!」
後輩ちゃんが真剣に悩み始める。ヘタレか積極的か、そんなに悩むことなのか?
まあいいや。どうでもいいことに悩む後輩ちゃんは放っておいて、俺は抱き枕を堪能しよう。
俺は再び後輩ちゃんの服の中に手を入れる。
しっとりと汗ばんだ後輩ちゃんの素肌。汗の甘い香りが漂ってくる。
俺は後輩ちゃんの背中に人差し指を置いた。
ビクッと震える後輩ちゃんの身体。指が動くのを今か今かと待ち構える。
拒絶はしないらしい。いつ襲ってくるかわからないくすぐったさを我慢している。
さ~てと。今度はどんな単語を書こうかなぁ。
やっぱり、この単語を何度も書くのが効果的だよな。
「あんっ♡ やぁんっ♡」
二文字を書くたびに後輩ちゃんが体を震わせ嬌声を上げる。とてもエロい。
字の大きさを変えたり、書くスピードを変えたり、書く場所を変えたり、いろいろ工夫をしながら後輩ちゃんの素肌に文字を書き続ける。
「先輩もうダメ! ダメですから! 気持ちはよくわかりましたからぁぁあああ! だめぇぇぇえええええええええええええ!」
俺の告白の嵐に後輩ちゃんが絶叫する。
俺の気が済んで文字を書くのを止めた時には、素肌を火照らせ、汗だくで、呼吸困難でビクビク痙攣する俺専用超絶可愛い安眠抱き枕の後輩ちゃんがいたとさ。
エロい後輩ちゃんに癒されつつも、くすぐりすぎるのは良くない、と学んだ俺でした。
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