第50話 膝枕と後輩ちゃん

 

 数日ぶりに晴れ間が広がった。梅雨の間の貴重な晴れの日。


 俺は朝早くから洗濯機を動かし、大量の洗濯物を干してから学校ヘ行った。帰ってきたときには全て乾いている。今は全て取り込んで、畳んでいるところだ。



「むぎゅ~~~~~~~~~~~~~~~!」



 洗濯物を畳んでいる俺の背中には後輩ちゃんがくっついている。脚まで使って俺を抱きしめているのだ。


 最近は薄着なので、後輩ちゃんの身体の柔らかさが直に伝わってくる。


 後輩ちゃんの甘い香りと温もりと、胸の柔らかな感触が心地よい。



「後輩ちゃん? 俺を後ろから抱きしめるのが気に入ったの?」


「はい! とても気に入りました!」


「そうか。ずっとしてていいぞ」


「むぎゅ~~~~~~~~~~~~~~~!」



 俺は後輩ちゃんの柔らかさを堪能しながら洗濯物を畳んでいく。畳んでいくと見覚えのない服を見つけた。可愛らしい白いショーツとブラだ。



「あれ? 後輩ちゃんってこの下着持ってたっけ?」


「あ~それは先輩が理性がなくなった時に着てた下着です。お母さんたちから貰った誕生日プレゼントの一つですね。他にもたくさんあるんですが、それはお楽しみということで」



 俺はあの母親たちのことを思い浮かべる。あの母親たちが普通のものを送るなんてありえない。



「………………もしかしてすごいやつ?」


「………はい。めちゃくちゃすごいやつです。着るのに物凄く勇気が要る下着です。興味あります?」


「そりゃ、まあ、あるけど」



 俺も男だ。後輩ちゃんの下着姿に興味はある。後輩ちゃんは嬉しそうに俺の身体に顔をこすりつける。



「そうですか。まずは特訓しないといけませんね。先輩、お願いしますね。私もいろいろと頑張ります!」


「………最近更に積極的になりましたね?」


「……誰かさんがヘタレなので」



 おっと、話を逸らしたほうが良さそうだ。後輩ちゃんは今ジト目をしているだろう。絶対に振り向かないぞ。



「さーて、洗濯物をさっさと畳むかー」


「先輩、話を逸らしましたね? それに棒読み口調です」



 うん、知ってる。自分でもわかるくらい棒読み口調だった。


 後輩ちゃんが、はぁ、とため息をついた。なんかごめんなさい。


 俺は慣れた手つきで洗濯物を畳んでいく。後輩ちゃんの感触を楽しみながら畳んでいたら、あっという間に畳み終わってしまった。ちょっと残念。



「先輩? 終わりました?」


「ああ、終わったよ」


「では、私のお仕事を始めます!」



 後輩ちゃんが俺の後ろからいなくなった。温もりがなくなって少々寂しい。


 後輩ちゃんが俺の隣りにきて、足を延ばして座った。そして、太ももをポンポンッと叩いている。



「さあ! どうぞ!」


「では失礼して」



 俺は後輩ちゃんの太ももに頭を乗せた。膝枕だ。いや、太もも枕?


 後輩ちゃんの太ももは柔らかくて気持ちがいい。モチモチするし、スベスベもする。それに、いい香りがする。今日の後輩ちゃんはキャミソールワンピースを着ているから生足だ。太もものところは際どくて、肩もほとんど露出している。


 ほぼ下着じゃないか、と俺は思うのだけど、後輩ちゃんからしたらただの部屋着らしい。


 太ももを堪能しながら後輩ちゃんに聞いてみる。上を向くと後輩ちゃんの胸も見えて眼福だ。



「後輩ちゃん? なんで膝枕?」


「先輩を癒すのが私の仕事です。今日は膝枕がしたくなりました。お触りも自由ですよ」



 後輩ちゃんが俺の頭を撫でてくれる。すぐに安心して眠くなってきた。



「あぁ……安心する」


「そうですかそうですか! うふふ。先輩が甘えてくれて嬉しいです」


「俺をダメ人間にするつもりか?」


「そうですね。こういう時はとことんダメ人間になってください。たっぷりと甘やかしてあげます」


「………たまにはいいか」



 俺は後輩ちゃんに甘えることにする。顔をこすりつけ、あまい香りを吸いこむ。


 俺は手を伸ばして後輩ちゃんの太ももを触った。



「ひゃう!」


「お触り自由だったよな?」


「そ、そうですけど、恥ずかしいです」


「特訓だ」


「そ、そうですね。特訓ですね。が、頑張ります」



 俺は後輩ちゃんの太ももを触る。優しく撫でたり、モミモミと揉んだりする。


 後輩ちゃんは太ももの内側が弱いらしい。少し欲に負けて触ってみたら、艶めかしい声を出して、必死で我慢していた。


 俺の理性が危なかったので触るのを止めておいた。


 あれはダメだ。後輩ちゃんがエロすぎる。



「ふう。後輩ちゃんありがと。もういいよ」



 俺は十分堪能したのでムクっと起き上がった。



「あれっ? もういいんですか? 横向きになって私の下着を見たり、うつ伏せになって顔を埋めたりしなくていいんですか?」



 後輩ちゃんが顔を赤くしながら首をかしげている。少し残念そうに見えるのは俺だけだろうか?



「後輩ちゃん? 俺にハードなことを要求しないでくれ」


「もうちょっと欲望に忠実になって、私をもっと触ったり見たり襲ったりしてもいいんですよ」



 ちょっと欲望に忠実になって、後輩ちゃんを襲いそうになったから膝枕を終わったんですけど。それに、後輩ちゃんを襲ったら気絶するでしょ! 後輩ちゃん、カモーン、って言わないで!


 俺が心を落ち着けていたら、後輩ちゃんは何かに気づいたようだ。ハッとして俺の背中に抱きついてくる。そして、俺の前を覗き込んでくる。


 俺は手でさりげなくある部分を隠す。



「どうしたんだ?」


「じーーーーーーっ!」


「後輩ちゃん?」


「えいっ!」



 可愛い掛け声とともに俺の身体を触ってくる。突然のことで反応できなかった。



「よしっ! ベッドへ行きましょう!」



 後輩ちゃんが可愛らしく、そして鼻息を荒げながら宣言した。



「なんで!?」


「私、頑張りますから!」


「頑張らなくていい! 気絶するだろ!」


「先輩の身体を見ても気絶しなくなりました。ほら! 行きますよ!」



 後輩ちゃんが手を引っ張る。俺は必死に抵抗する。



「い、今は立てないから!」


「では、ここで」


「しなくていい! 外はまだ明るいから!」


「問答無用! それっ!」


「うわぁぁあああああああああああああ!」



 俺は一方的に肉食系女子に襲われた。

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