第110話 光るピンクの石


帝城から帰ってから、俺はどうやら丸一日眠っていたようだった。


起きると着替えさせられていて、きちんとベッドで寝かされていた。



「リディ様!気付かれましたか?!」


「……ミーシャか。」


「もう!心配させないで下さい!」


「ただ寝ていただけだろう?」


「違いますよ!倒れていたんですから!」


「ハハ、大丈夫だ。ちょっと長く寝ただけだ。」


「そんな事言ってたら、ゾラン様に怒られますからねっ!」


「俺を怒ってくれるのか、ゾランは……。」


「あ、お腹すいてますよね?食事を持ってきますね!」


「あぁ。頼む。」




窓から外を見ると、もう外は暗くなって、空には星が見え始めていた。


思ったよりも精神的にダメージを受けていたようだな。


情けない。こんなことですぐに寝込むとは。


そう思っていると、ノックが聞こえてゾランがやって来た。



「遅いお目覚めですね。リドディルク様」


「寝不足でな。久々にゆっくり出来た。」


「そう言う事にしたいんですね……。」


「そう言う事だ。」


「分かりました。しかし、これからはどこに行くのも、必ず私がついて行きますので!」



そう言うと、少し怒った感じでゾランは出て行った。


少しして料理が運ばれてきて、ベッドでそれを食べる。


俺は病人か、と言うと、ミーシャにそうです!と言われてしまった。


少し長く寝ただけなのに、皆大袈裟だな。


しかし、インタラスの王都に行こうと思っていたのに、今日は行けなかったな。


明日出発する事にしよう。


食事が終わってから動こうとすると、何故かミーシャに寝てろと言われた。


本当に病人扱いをする。




空に輝く星を見ながら、アシュリーの事を思い浮かべる。


首飾りの石が不意に光だした。


が、すぐにそれは消えた。


この石は、相手の事を想って握ると、片割れの石が輝き、相手の脳に直接話しかける事ができるのだ。


アシュリーが俺を想ってくれていたんだろうか。


そう感じて、今度は俺から石を握りしめてアシュリーを想う。


そうして、アシュリーと話をすることができた。



アシュリーの声が聞こえると、本当に心が安らいで行く。



気持ちも体も、すっかり軽くなった。 



明日こそ姉に会いに行くとしよう。




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