7章2節

 大陸統一暦999年6月。レーゲンスベルグにカティスたちが、アルベルティーヌにリワードが戻って間もない時節。嵐はウェンロック王のこの一言から始まった。

「来月には、ゴルトクベレ離宮に宮廷をうつす」

 王の決定は、廷臣たちを驚かせるものではなかった。避暑の行幸はよくあることだし、冷夏だった昨年とは違い、気温は例年並ですでに暑気も感じられた。これから真夏に向かうアルベルティーヌから王が脱出しようと考えるのも、無理ないことと思われた。

「行幸ともなればかなりの費用がかかる。王は己の足元を見ておられるのか」

 決定が下されたその足でアイラシェールの元を訪れたフィリスたちは、幾らか不満げにそうささやきあった。だが上座の女性がひどく青い顔をしているのに気づき、怪訝そうに彼女を見る。

「侯妃殿下?」

「フィリス卿。陛下はどのような日程を計画されておられるの?」

「七月三日ご出立。となれば、七月五日には離宮に入られることとなりましょう。……しかし侯妃、顔色が」

「止めてください」

 一も二もない言葉に、騎士団員たちは一瞬言葉の意味を呑み込めなかった。

「どんな理由をつけてもいい。どんな手段を用いても構いません。行幸をおやめいただくか、せめて行き先を別の離宮へ変更してくださるよう働きかけてください」

「……しかし侯妃、避暑の行幸となれば、ゴルトクベレ以外には考えられません。カリネラ高原の涼気、温泉、狩猟に最適の立地、カリネラ山の景勝――どれをとってもアルバ随一のものばかり」

「それを変更せよとは、よほどの利用なくば奏上できることではありますまい」

 口々の反論に、アイラシェールは瞑目した。その胸に重くのしかかるのは、暗澹たる思い。

 言わなくてもいいじゃないか――そんな思いもかすめた。

 放っておけばいいんだ――そうとも思った。

 けれども黙っていることはできなかった。

 歴史を変えようと――革命を退けようと、願えば願うほどに。

「最近カリネラ山付近で、地震が頻発していることを、皆様はご存知ではなくて?」

アイラシェールの言葉は、広間にざわめきをもたらした。

「麓で温泉が湧くことから判るように、カリネラ山は火山です。群発地震が起こることは、火山活動が活発になってきた証」

 話が飛躍している、とこの時誰もが思った。きょとんとする一同の顔を見回し、アイラシェールは己の過ちに気づくも、苛立ちを押さえきれない口調で告げた。

「そんなことは、今までの活火山の噴火の記録を読めば判ることではないですか。大抵の火山は、噴火の前兆として数多く、そして大きな地震を伴っているのです。地面の下であれだけ大量の溶岩が動いているのですから、地面が揺れたって全然不思議ではないでしょう?」

「侯妃……それでは、溶岩とは地面の下に埋まっているものなのですか?」

「それでは、地面から吹き出してくるものが、地面の下以外の一体どこに存在していると思っているのですか、あなたは」

 頭が痛い、とばかりに額を押さえるアイラシェールに、エスターが恐る恐る問いかける。

「それは……つまり侯妃、カリネラ山が、噴火すると……」

「それは判りません。しかし、現実に地震は頻発しているのです。ただそれだけでさえ、陛下をお止めするには十分な理由です」

 きっぱりと言いきるアイラシェールに、居合わせた者たちはそれ以上言葉がない。

「……団長、恐れ多いことですが」

 アイラシェールのサロンを退出した後、廊下を歩きながら、リワードは前を歩くフィリスにためらいがちに口火を切った。

「あの方は一体どういうお人なのだろうか。リワード、エスター、俺も今日は心底思ったぞ」

「政治や経済、宗教や哲学だけでなく、地質学にまで造詣があらせられるとは。しかもその一つ一つがことごとく、博士や教授たちに比肩する」

「エスター、それもあるが、それよりも」

「そうだ。一番問題なのは、あの方はどうして、ゴルトクベレで地震が起こっていることを知っておられたのか。我々廷臣ですらいまだ知り得ていない事実を掴んでおられたのか」

「その情報源が、バルカロール侯爵であるとは思えません。侯がカリネラ山噴火の可能性を知っておられたのならば、先程の会議でそのことに触れなかったことは解せませんから」

 リワードの言葉にフィリスは頷く。ならば彼女の情報源は、バルカロール侯爵ではない。そして何より、前回のディリゲントの情報は、バルカロール侯爵とてあの時点で掴めるものではないだろう。

 ならば、なぜ、彼女は前回も今回も、誰も知らないことを知っていたのか。

「我々は――」

 ぽつり、とフィリスはこぼす。

「我々は、主君とも仰ぎ剣を捧げた御方のことを、何も知らない」

 出会った時、彼女は新人の女官だった。女官はその出自はおろか、本名すら明らかにはされない。侯妃に冊立されることが決まった時に、北部の大貴族バルカロール侯爵の係累だと知らされたが、それ以外の彼女の個人的な情報は、何一つ明らかにはなっていない。

「我々はあの方の御名すら、知らない」

 フィリスたちが辞去した後、気分が悪いと言ってその日の夜会を欠席したアイラシェールは、寝室の椅子に腰をかけてぼんやりと天井を眺めていた。そんな彼女に、そっとベリンダが問いかける。

「あのね……アイラ」

「なに?」

「アイラは、預言者なの?」

「うん」

 ためらいがちな問いかけに、アイラシェールはベリンダが拍子抜けするほどあっさりと認めた。

「どうして、そう思ったの?」

「だって、それ以外には考えられなかったから」

 ベリンダの思考の推移は量りきれなかったけれども、アイラシェールは彼女の洞察の正しさを認めて淡く笑んだ。

 彼女にはどんな理由があろうとも、それでどんな結末を迎えようとも、嘘はつけない。

「私のこと、怖い?」

 自嘲気味に問いかけたアイラシェールに、ベリンダは静かな表情のままで問い返した。

 何一つ、ためらうことなく。

「どうして?」

 その言葉に、アイラシェールは胸が詰まった。

 言いたいことはいっぱいある。伝えたいこともいっぱいある。けれどもそんな気持ちの何一つも言葉にならず、うつむいた唇はやっとのことで紡いだのはたった一つ。

「……ありがとう」

 ベリンダは手を伸ばし、アイラシェールの肩に触れた。お互い口を利かず、沈黙が窓の外が完全に闇に沈むまで続いた。

 それが破れたのは、ベリンダが窓辺の燭台に火を灯しに離れた時。暖かな光が寝室を満たすと、彼女の方から口を開いた。

「アイラ、不躾なことを聞くけれども、いいかな」

「……なに?」

「アイラは、ウェンロック陛下のこと、好き?」

 単刀直入だが、それはアイラシェールにとって意外な問いかけだった。一瞬意をつかみかねた彼女に、ベリンダは苦笑いをして続ける。

「あたしが聞きたいのは、アイラにとって陛下はどんな存在なのかってこと。人生の伴侶なのか、権力闘争における共闘者なのか、単純なる庇護者か。それとも」

「それとも」

「王様なのか」

 ベリンダの一言は、実に端的でアイラシェールは返答に困った。

「今の宮廷の権力闘争の構図は、頭の悪いあたしでも判るの。アイラとバルカロール侯爵、フィリス卿を始めとした近衛騎士団が中心になって、第三勢力を形成された理由と経緯もね。だからアイラがウェンロック陛下に、消えてもらっては困ることは判る」

「ベリンダ……」

 臣民として空恐ろしいことをベリンダは平然と口にした。

「でもあたしには判らない。アイラにとって、ラディアンス伯やフレンシャム侯と覇を競って争うことに、何の意味があるのか」

 ベリンダの問いかけが、己の行動の本質を見抜くものであることに、アイラシェールは気づいた。だが――だからこそ、ベリンダの次の言葉を待つ。

「それは自分を拾ったバルカロール侯爵のため? それとも妃として――国の中枢に位置する者の務め? それとも純善に、陛下に対する愛情? ……あたしには、そうは思えないんだけれども」

 慈悲――憐れみに似た暗い眼差しで、ベリンダはアイラシェールを見る。

 ベリンダは思う。アイラシェールの心の中にいる、ただ一人のことを。

 アイラシェールは『長春花』にいた時から、そのことを一度も口にしたことはない。けれども、共に暮らして彼女を見ていればおのずと判る。

 彼女が自覚するしないに関わらず、心の大部分を占めているのは、たった一人の男性なのだということ。

「そしてアイラは未来のことが判る。だったら余計に思う。アイラはこの先どうなることを望んで、陛下に尽くしているの? 陛下がどういうことをこれからして、どうなることが望みなの?」

 アイラシェールはこの時、ベリンダのもう一つの顔を初めて見たと思った。

 彼女は自分のことを頭が悪いというが――確かに学識や教養はないかもしれないが、思考回路は極めて論理的だ。そしてその思考が回転する時、先入観や思い込み――自分の感情さえ排除し、どこまでも冷徹に冷静になれるのだということも、この時初めて察した。

「私、未来を変えたかったの」

 アイラシェールはとうとう、その一言を口にした。

 カイルワーンがカティスに全てを明かしたように、アイラシェールはベリンダを選ぶ。

「私は未来を知っている。これからこの国に何が起こって、この宮廷の権力抗争がどんな顛末に終わるのか。その結果誰が王になり、そして私がどうなるのか。その全てを」

 わずかに閉じた目。目蓋の裏が赤い色に見えた気がした。

 それは『魔女』と呼ばれることとなる自分のために流れる他人の血か。それとも『拝謁の露台』から身を投げた、己の流した血か。

 血まみれの『赤い魔女』――それが自分だ。

「私は私自身の迎える結末を変えたい。けれども、それを変えるために何もかもを変えてしまうこともまた、できないことなの」

 歴史を変えたい。運命を変えたい。切に願えば願うほど、心の中に一つの疑問が浮かび上がってやまない。

 もしも、歴史を変えることができて、自分が『魔女』と呼ばれることがなくなったら。

 『サンブレストの大虐殺』も、それに伴う民衆の蜂起も、貴族の結集もなくなったら。

 レーゲンスベルグの一市民だった英雄王カティスは、果たして王位につくことができるのだろうか、と――。

 そしてカティスが王にならなかったら、その時自分は、どうなる?

「変なことを聞くけれどもね、ベリンダ。答えてくれないかな。今突然、一人の男性が現れて『僕は実は王子なんです』と名乗ったところで、それで王になれると思う?」

「アイラ……それって」

「今はあなたの胸の中にしまっておいてね。でも、そういうことなの」

 苦笑をして、アイラシェールは続ける。

「ウェンロック陛下の実弟であらせられる方が、市井で平民として暮らしておられるの。名乗りさえあげられれば、妾腹とはいえ最も有力な王位継承者となれる方よ――真っ当に考えればね。でもその『真っ当』が通用しないのが、この王宮よ」

 ベリンダは、小さく頷いた。

「その御方が今王宮に来られても、父君のレオニダス陛下はもうおられない。有無も言わさぬ力でその方を認知できる存在は、もうこの世にはいないのよ。そうなれば、どんなに有力な証拠があったとしても、アルバ貴族の少なくとも三分の二はその御方を王子とは認めないでしょう。彼の存在は、ラディアンス伯やフレンシャム侯に与してきた者たちには都合が悪すぎる。ウェンロック陛下崩御の後に開かれるであろう選帝会議でも、正式な認知なくしては勝ち目はないわ」

 それなのに、とアイラシェールは内心で呟く。

 この時代に来て、貴族たちの争いに身を投じてみて初めて、浮かび上がってきた疑問がある。それはきっと、史書ではあまりにも美しく描かれたために、闇に葬られた真実。

 どうして民衆はカティスを歓呼の声で迎えたのか。

 どうして貴族たちはカティスを王位継承者と認め、君主として推戴したのか。

 魔女討伐のため、集った貴族たちの大半は、ラディアンス派とフレンシャム派の者たちである。そして当のラディアンス伯とフレンシャム侯も参加している。後にフレンシャム侯はノアゼットと同盟してカティス王に反旗を翻すから、彼は実はカティス王に臣従を誓わなかったのかもしれないが、それでも彼らはその場で反旗を翻すことなく従い、共にアルバ国軍と戦った。

 今の宮廷の状況から考えればあり得ざることが、革命軍の本陣がおかれたイプシラントの野では起こっている。

 それを可能にしたものが何なのか、アイラシェールには皆目判らない。だからただ一つの手段以外には、アイラシェールにはカティスを王にする手段が思いつかない。

「アイラは、その陛下の弟君に、次の王になってもらいたいの?」

「このままいけば、黙っていてもその方は王になる。でもそれは、彼自身が戦ってこの城に攻め入り、玉座を掴み取ったから。それを非難するのではないのだけれども、私は彼の王位継承にまつわる一連の争乱を回避したい。戦争を起こしたくない。それでも、私は彼に王になってもらわなければ困るの!」

 カティスが王にならなければ。王となり、マリーシアを王妃に迎え、自分につながるロクサーヌ王家の血筋を残さなかったら、自分は生まれてはこず、それはつまり。

 歴史が変わった瞬間、自分が消えてなくなる――。

「だったら方法は一つしかない。だから、ウェンロック陛下なの?」

 ベリンダの問いは、一直線にアイラシェールの意図に届いた。頷いてアイラシェールは認める。

 『六月の革命』を回避して、なおカティスを王位につけようとすれば、ベリンダの言う通り、方法は一つしかない。

「私はウェンロック陛下に、その御方を弟と認めて王太子の位につけていただきたい。戦乱など起こさず、穏便に王権を渡していただきたい。だからラディアンス伯にもフレンシャム侯にも王位が渡せない。その結果彼らと争うことになるし、そのためにもウェンロック陛下には私の味方でいてほしい。それが実現する前に陛下に何かがあったら大変だから、全力をもってお守りしなければならない。自分の行動が状況に流されている気は多分にするけれども、現状を招いた私の真意はそういうことなんだと思うわ」

 ふう、と小さなため息をついて言い募るアイラシェールに、ベリンダは消化不良な表情をしながらも、それでも言った。

「なんでその方が王にならなければアイラが困るのか――それは今は聞かないでおく。でもアイラ、今の話を聞いてあたしが思ったこと、言っていい?」

 いやに改まった物言いに、アイラシェールが表情を曇らせると、ベリンダは予想以上に重苦しいことを告げた。

「全ての兄弟の間に、愛が存在すると思うのは幻想だと思うよ」

「それは……」

「例えばあたし。あたしはおそらく異父兄弟がいると思う――母さんは、あたしを生んだことを隠して、嫁に行ったからね。その弟や妹があたしを姉と慕ってくれるとも思えないし、弟妹をあたしがすんなり受け入れられるかと言われると、実のところ自信はないわ」

 ベリンダの告げた言葉に、アイラシェールは返す言葉がない。微かに唇を振るわせるアイラシェールに、ベリンダは少しためらったが、やがて続きを口にした。

「妾腹とはいえ、一国の王子が市井で育てられたのよ。陛下の弟君が自分の出自を知っているとしたら、何にも考えなかったとは思えない。陛下にしたって、今突然『弟君がおられます』と言って、手放して喜ぶような方?」

 カティス王は、生涯己が王子であることを、肯定も否定もしなかった。自分から否定することもなかったけれども、決して己で認めることもなかった。王位についてさえ、なお。

 その真意は――心理は。

「アイラ、あたしにはあんたのやろうとしていることが、簡単だとは思えないよ」

 ベリンダの言葉は、アイラシェールに重くのしかかった。

 人の心など、決して量れない。だけど――とアイラシェールは思わずにはいられない。

 自分の祖である英雄王カティス。彼は一体今、何を考えているのだろうか。

 この後継争いに揺れるアルベルティーヌ城を、レーゲンスベルグの街から眺めながら。

 兄のことを、国のことを、王権のことを、どう思っておられるのだろうか。

 もしかしたら自分のこの思い――歴史を変えるために、カティス王に早く王位に就いてほしいという思いは、この行動は、他人の気持ちを――人生をないがしろにするものなのかもしれない。

 それでも。

「それでも、やらなければならないのよ……」

 歴史を変えられなければ魔女として殺され、歴史を変えれば生まれてくることさえできない。

 そんな運命など、あんまりではないか。

 今が大陸暦999年6月。あと時間は、たったの一年しかない。

 うなだれ、震える声で呟くアイラシェールを、ベリンダは惑いと憂いに満ちた眼差しで見下ろした。


「フィリスに言われた。カリネラ山に危険な兆候があるから、ゴルトクベレ行きは中止にしろと、お前が言ったらしいな」

「はい」

 翌日訪れたウェンロック王に、アイラシェールは毅然として答えた。

「陛下の御身に危険が及びかねない地への行幸など、お止めして当然ではありませんか」

「余のところには、そのような報告は届いていない」

「どこで伝達が滞っているのかは、判りません。しかし、私がこのような嘘をついて、何の益がございましょう。御身の危険以外に、私が陛下がゴルトクベレに行幸されて困ることなどありましょうか?」

 険しい表情で言い募るアイラシェールに、ウェンロック王は少しばかり表情を変えた。

 それはどこか諦めを含んだ、寂しさが漂っていた。

「確かにお前には、余に何かあることで得るものはない――奴らとは違ってな。だが、アレックス」

「何でございましょう」

「お前はどうして、余に何かあったら困るのだ?」

 その言葉に、アイラシェールは凍りついた。それは昨日のベリンダの問いの同義語で、だからこそウェンロック王当人に答えられるものではない。

 見透かされている。試されている。アイラシェールは戦慄を覚えた。

「それを真なる愛情だなどと信ずるほど、余も単純ではないぞ。余が死ねば自由になれるお前が、それでも余の存在を必要とするのならば――」

 ウェンロック王は笑った。その笑みはひどく冷たく、そして暗かった。

 彼の心の中を、映したかのように。

「お前が必要としているのは、王としてのの、一体なんだ?」

 この問いではない言葉が、ウェンロック王の深い絶望を表していたことにアイラシェールは気づかず。

 まあいい、と呟いて、ウェンロック王はアイラシェールの部屋を出ていこうとする。

「ゴルトクベレ行きは、やめにしておいてもいい。お前がそこまで言うことに、敢えて逆らうこともないだろう」

 ぱたん、と力ない音で閉じられる扉を見送り、アイラシェールはただ立ち尽くす。

 かくして翌日にはゴルトクベレへの行幸の中止が王の口より告げられ、人々の心に釈然としない感情の波が何となく広がっていた7月8日。

 訪れた急使が、宮廷人たちを震撼させる。

「カリネラ山が噴火、ゴルトクベレ離宮付近まで溶岩が流れこみ、噴石などでほとんどの建物が壊滅的被害を受けました」

 対応の枢密会議終了後、ラディアンス伯は険しい顔つきで側近にもらした。

「アレックス侯妃は、事前にこのことを掴んでいたのか。ディリゲントの件といい、今度のことといい、あの女は――」

 一言、呟く。

「あの女は、まさか、魔女か」

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