第30話 また寝坊する

窓から入り、カーテンを揺らす光。

フェルナンドは、目を覚ます。


寝ぼけ眼で目覚まし時計を見る。

11時。

…寝床から、跳ね起きた。


今日は午前中、弟・アメリアのところへ行こうと思っていたのに…。

もう昼前だ。


今出掛けなければ、午後出て行く感じになる…。

それは何となく気分が重たい。

用事は早いうちに済ませたい…。



フェルナンドは寝間着を脱ぎ捨てる。


紺のズボンをゆるく履きこみ、グレーのチュニックを着て、腰は革のベルトで絞る。

顔を洗って、空色の長髪をとかした。

…枝毛を見つけたが、もう気にしない。


確かアメリアからの手紙には、石化した剣と、パティスリー・メルティルビーのケーキを持って来いと書いてあった。

彼を訪ねて国立研究所に行く前に、ケーキを買いに寄り道しなければ…。



荷物を一通り揃えて忘れ物がないか確認し、フェルナンドは玄関でショートブーツを履く。


そして────ドア脇に立てかけてある、石化した剣を取り上げた。



フェルナンドは、剣をひとしきり眺める。


何の装飾もない長剣。

一般的な長剣よりは少し長く、ちょっと細身。


シンプルな剣だが…

でも、特別に思い入れのある一振りだ。



さて、あまり感傷に浸っていると遅くなってしまうので、この辺にして。

彼は石化した剣を腰に提げる。


フェルナンドはまず、王都メインストリートにあるスイーツ店、パティスリー・メルティルビーへ向かった。


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