地獄まで一緒にいてくれる?

 僕と妹はほぼ同時に産まれた。どちらが兄か姉なのかというのは母の身体から取り上げられた順番というだけであって、僕達はほぼ双子と変わらない。そんな僕達はこれまでずっと一緒に生きてきた。同じようなことして、同じように育った。今もまだ僕達は同じ制服を着て、同じ道で登下校している。同じ食卓を囲んで、同じテレビ番組を見て、同じ趣味を持った。妹が好きなことを僕は好きになったし、僕が好きなことも妹は好きになった。僕達はこれからも離れることはなく、二人で一緒に生きていくのだと思っていた。

 ある日、妹は僕に「地獄まで一緒にいてくれる?」と聞いた。もちろん僕は「うん、いいよ。」と二つ返事をして、「いつだって僕達は一緒だっただろ?」と答えた。それは妹の冗談だと思ったけれど、次の日に妹は僕を殺して自殺してしまった。死んだ後に妹は担任の先生を殺してしまったと知った。嫌いで仕方なかったと妹は言う。そんな妹を閻魔大王は許すはずがなく、妹は当然のように地獄行きになった。一方僕は天国に行けることになったけれど、僕は閻魔大王に懇願して地獄に行くことにした。先に地獄に行った妹の背中に追いつくと、妹は「なんで?」と言って僕に振り返った。「約束しただろ」と僕は言うけれど、妹は僕に何度も「ごめんなさい。」と言って止まない。

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