世界が終わるならエヴァみたいがよかった

世界から人間が消失してから暫く経つ。しかし、なぜか僕達兄弟は生き残っていた。目が覚めたら妹以外いなくなっていたのだから結構焦ったし、日を重ねるごとに荒廃していく世界を見てそれなりの絶望感があった。これがエヴァンゲリオンだったら僕は妹の首を絞めていたところだったなんて思う。幸いだったのはエヴァンゲリオンほどの絶望を僕は味わっていないし、妹がアスカみたいに精神崩壊していない事だったのかもしれない。そんな冗談はさておき、他の人々はみんな消えてしまったのになぜ僕達だけが生き残ってしまったのだろう。どうせ残すのなら普通の兄妹である僕達なんかよりも大統領やら総理大臣やら他にふさわしい人がいたと思う。しかしいくら考えても答えは出ない。人類を消滅させたのが神様だと仮定しても神様は僕達に何も教えてはくれなかった。

 結局なにもわからないしやる事がないから僕達はレンタルDVD屋から盗んできたエヴァンゲリオンを一話目から見始めた。せっかくだからテレビシリーズから旧劇場版、新劇場版を見比べてみる事にしたけれど途中で新劇場版には最終章がない事に気がついて、そう言えば完成する前に人類が滅亡した事を思い出す。全て見終わった後に妹が「世界が終わるならこんな感じが良かったね。」と言われて心の底から共感した。

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