妹製造工場
やってしまった。僕はまた妹を殺してしまった。
慌てて妹の体からナイフを引き抜いたが、そこから噴水のように鮮血が溢れ出てしまい、事態は既に手遅れだと知る。今週だけでもう6人の妹を殺した。たった今殺した妹を入れて7人目になる。今週は一日に一人づつ殺してる計算で、殺したのが妹じゃなかったら僕はジャックザリッパーも驚くような殺人鬼だろう。死刑は免れない。殺したのが妹で本当によかったと思う。しかし、妹を殺してスッキリするのはいいけれど、妹の死体を片付けるのは楽じゃない。少しでも思い通りに行かないことがあるとすぐに妹を殺してしまう自分がどうしようもなく憎いし惨めだ。でも心配はいらない。すぐに新しい妹が送られてきて僕を慰めてくれる。今度こそ殺さないように自分を制御しよう。
しかし3日経っても新しい妹は届かなかった。無くなって初めて大切さを知るとはよく言ったもので、妹がいなくなった家で過ごすうちに妹が僕にとってかけがえのないものだと気付かされた。ごめんよ妹。妹が家に届いたらまずは妹に殺したことを謝って、妹の大好きなハンバーグを作ろう。
それから1週間が経ち、ようやく僕の家に妹が帰ってきた。僕は再会を喜んで、それから妹に何度も謝った。もう離れないでくれと何度も言った。けれど妹はなんの反応もせず僕に1枚の封筒を渡し、こう言った。
「ごめんねおにいちゃん。料金が未払いなの。」
そう言うと妹は去ってしまった。
手渡された封筒の中身は「妹製造工場」からの請求書だった。
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