第二章 優秀な妹たち

第13話 冷めきった木村兄妹

 あれから何時間たっただろう。

 暗くなった外を見て、龍次は意識を覚醒させる。

 ここは自分の部屋。そして自分はベッドの上にいる。


 全裸で。


 ベッドの上には同じく全裸の汐音がスヤスヤと寝ている。

 まだ成熟しきれていない可愛らしい汐音の乳房。

 その頂点に自己主張している少し濃いピンクをしている乳首。

 メリハリの乏しい見慣れた裸体。


「……もうこんな時間なってたんだな」


 龍次は自分の頭を押さえながら項垂れる。

 あの後、龍次の部屋に直行した龍次と汐音は力尽きるまでセ〇クスを行ったのだ。

 先に枯れたのは龍次の方で最後は拷問と変わらないぐらい辛かった。

 それでも感じている汐音の顔や声を聞くと元気になるものだから男の体は不思議である。

 性獣である汐音もさすがに力を使い果たしのか今は大人しく寝ている。

 ベッドの周りには三十を超える使用済みのコンドームが散らばっており、自分ですら引いた程だった。


 その後妹にばれないように黒い袋に使用済みのコンドームを入れて処分する。

 さすがに汐音にこんなこと手伝ってもらうわけにはいかない。

 たまに龍次の方が力尽きて汐音が片付ける場合もあるが。


 時間を確認すると夜の十時半。


 これは浩輔が心配していると思い、電話をかける。


『もしもし浩輔です』

「夜分遅くにすまない、龍次だ」

『いえ大丈夫です。どうかしましたか木村先輩』

「汐音が力尽きて寝てるから明日送っていく」

『あはは、分かりました。お疲れ様です』


 電話の向こう側から苦笑いする浩輔の声が聞こえてくる。

 きっと汐音の性欲の強さに笑うことしかできなかったのだろう。

 隣では気楽そうに汐音が寝ている。


 本当に幸せそうな顔だ。


『こっちは大丈夫です。いつも汐音がお世話になってます』

「急な外泊で悪いな。明日の朝、責任持って送ってく」

『了解しました。木村先輩も今日は無理しないでくださいね』


 浩輔はそう言うと電話を切った。

 浩輔は龍次のことを信頼している。

 だから、妹を男と一緒に夜を明かしてもなにも心配をしていないだろう。

 むしろ、浩輔は汐音ではなく龍次を心配している。


 それはそれで複雑な気持ちだが。


 浩輔と話をして冷静になったおかげで、この部屋の空気が淀んでいることに気づいた。

 汐音の柑橘系の雌の匂いと、二人の汗臭さが部屋に充満している。

 とりあえず龍次は窓を開け、換気することにした。


 その後、裸のままで家をうろつくわけにはいかないので部屋着に着替え、汗でべたついた体を洗うため、浴室に向かう。

 その道中、あまり顔を合わせたくない人と鉢合わせしてしまう。


「香織」

「……兄さん」


 思わず名前を呼ぶ龍次に、名前を呼ばれた妹は嫌悪感を隠さずに嫌な顔をする。


 木村香織。龍次の一つ下の高校二年生である。

 身長百六十前半。

 黒髪で高めの位置で結んでいるゴールデンポニーテールをしている。

 龍次の妹ということもあり、目元が似ていて鋭く吊り上がっている。

 そのせいで怖い印象を与えてしまう。

 いつも勉強してばかりしているせいか、顔に覇気がない。

 胸は平均的な大きさよりも少しだけ大きく推定Dカップ。

 昔は『お兄ちゃん、お兄ちゃん』と後をついて回っていた香織も今では兄に対して冷たい態度しか取らなくなった。


 浩輔の妹の汐音とは大違いである。

 あの兄妹は今も仲良しだ。


「今日も汐音さんが来てたのです」

「そうだが、それがどうした」

「別に。今までお楽しみだったようですね。良い御身分ですね」

「なんだよ香織。言いたいことがあるならもっと直接言え」

「触らないでください、汚らわしい。早くお風呂にでも入ってください。そして私の部屋には入らないでください」


 嫌味を言う香織に腕を引っ張って恫喝すると、まるで汚いものに触られたかのように拒絶する香織。

 その目は完全に汚物を見るような目だった。

 その後、香織はなにも発することなく自分の部屋に消えていく。

 龍次もここにいても時間の浪費だと考えシャワーを浴びに行く。

 龍次がシャワーを浴びてもこのモヤモヤだけは消えてくれなかった。

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