第5話 セ〇クスは最高だぜ

 浩輔たちはここから二駅離れている西条高校に通っている。

 西条高校はどちらかと言うと進学校だが部活にも力を入れている高校である。

 部活に入っていない浩輔には関係ないが。


 制服は紺のブレザーに紺のスラックス。女子はスカートを着用している。

 ネクタイは学年ごとに変わり、一年生は赤、二年生は黄色、三年生は青である。

 二年生である浩輔は黄色のネクタイを結び学校に向かう。


「戸締りオッケーだね」

「それじゃー行きますか」


 汐音が子供っぽく、鍵を閉めたことを指差し確認をし、それを確認した浩輔は気だるげに学校に向かう。

 兄妹して同じ学校に通っているので、登校はいつも一緒だ。

 下校はそれぞれお互いに予定がない場合は一緒だが、基本汐音は龍次と一緒にデートしに行ったり補習をしているので帰りはバラバラな方が多い。


「昨日ちゃんと木村先輩に礼を言ったか」


 通学路を歩きながら浩輔は汐音に話しかける。


「お兄ちゃんってたまにお母さんみたいなところがあるよね。お礼は毎晩してるよ」


 心外だと言わんばかりに拗ねた声で反論する汐音。


「してるじゃなくて言ってるのかって聞いてるの」

「そんなこと言わなくてもちゃんと龍ちゃんにはご奉仕してるから……いたっ、お兄ちゃん暴力反対」


「お前な、もう少し常識を身につけろよ」

 妹の馬鹿っぷりに思わず頭を叩いてしまった浩輔。

 汐音はなぜ叩かれたか分からないような表情をしており、涙目で訴えている。


 本当に木村先輩、お世話になっています。


 浩輔は心の中で龍次に感謝する。

 ちなみに龍次はいつも遅刻ギリギリに登校するので、浩輔たちと一緒に登校することはない。

 そんな馬鹿な会話をしながら電車に乗り、二駅行った後下りて再び歩く。

 駅を降りると浩輔たちと同じ制服を着た学生をちらほら見かける。


「でも意外だよね。お兄ちゃんが莉奈ちゃんや由利さんと一緒に夕飯を食べてくるなんて」


 昨日の出来事は妹でも信じられないことらしい。

 実際、本人の浩輔すら信じられない。

 本当は夢だったのではないかというくらい、疑っている。


「お兄ちゃんと莉奈ちゃん、由利さんって仲良かったっけ」

「いや、初めて話したと思う」


 由利と莉奈はクラスメイトだが、話したのはあれが初めてだったと浩輔は思う。

 ちなみに莉奈はちゃん付け、由利はさん付けというところから妹の汐音は莉奈とは仲が良いが由利とはあまり話している姿を見たことがない。

 だから莉奈の方が距離が近い。


「お兄ちゃんも早く彼女作らないの」

「い、いきなりなんだよ」


 今まで漆原姉妹の話をしていた汐音が急に兄の彼女の心配を始めてきた。

 はっきり言って余計なお世話である。


「だって華の高校生だよ。彼女作らないなんてもったいないよ」


 彼氏持ちの汐音が恋人に付いて熱弁する。


「いや~、別に好きな人なんていないし」

「お兄ちゃんは女の子に興味が無いの」

「別に興味がなくはないけど……」


 はぐらかそうとしたら、さらに追及してくる汐音。

 浩輔だって女の子に興味がないわけではない。

 ただ、友達も少ない浩輔に彼女は遠すぎる存在なのだ。


「なら作ろうよ」


 汐音は親指を立てながら決め顔をする。

 作ろうと思って彼女を作れたら、童貞も苦労はしないだろう。


「セ○クスは最高だぜ」

「朝からそんなこと言うんじゃありません」


 朝からなんてことを言っているのだろうか、うちの妹は。

 とにかく汐音は性欲モンスターだ。そのレベルはこじれた童貞以上に凄まじい。

 最初は汐音の性欲にドン引きだったが、汐音の人柄により今ではクラスに受け入れられており、周知の事実である。


「お兄ちゃんは童貞だから分からないんだよ。なら私が教えてあげようか。別にコンドームしてくれるなら私は全然オッケーだよ。セフレとして」

「お前はもっと自重しろー」


 またしても親指を立てて決める汐音に、浩輔の雷が落ちたのは言うまでもない。

 なにが悲しくて妹とセ○クスをしなければいけないのだろうか。

 もちろん龍次を貶めているわけではないのだが。

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