第3話 勉強せんわ なんにもせんわ
ごきげんいかがですか?
まだ、ちょっと脳内伝達物質の供給過剰が続いているようで、街を歩けば武蔵坊弁慶のようにのっしのっしと、ゆっくり五条大橋を渡り、他人にぶつかりそうになる前に大仰に道を開けてさしあげ、スーパーなどでは、陳列商品にブツブツとなにか話しかけています。どう見てもキチガイですよね! まあ、本当にキチガイじゃから仕方がない。しっかりと自分がキチガイだという自覚症状はあるんですよ。八年前とは違ってね。でも、ムリに商品に喋りかける行為を止めようとは思わないのです。まあ一人になったら喋りませんし、独り言も止まりました。勉強本の音読はしますけどね。さっきハルヒは無意識のうちに黙読していましたから、多少はよくなって来ているのでしょうか? 予定では先月中にハルヒは全巻読み終えているはずでしたが、いまだに一冊も読み切れず。ようやく一冊目が最終章に入りました。躁状態と言うのは本当に小説が読めません。読書は受動的行為のようで能動的な躁状態の時にはムリに読まないほうがいいのでしょう。全然記憶に残りませんから。まあ、今回はそれ以外の要因も多かったですが、同じ愚痴の繰り返しになりますのでやめておきましょう。
エベレストに届く勢いだったわたくしの文庫本の蔵書も、度重なる引越しやら、結婚・離婚やら、実父が勝手に売っぱらっちゃったやら、自分でもわけがわからんうちに売っちゃったとか、いろいろありましたので、昨年の四月にここを孤雲庵と定めた時には、蔵書の高さも阿蘇山くらいにはなっていたのですが、このあいだの『文庫ジェノサイド』の後片付けをしておりましたら、どうも富士山くらいまで、またしても成長しています。当然、読書スピードは全盛期に比べたら何百分の一くらいに落ちていますので、未読の山も北岳くらい高いわけでしてね。それでも既刊本はなるだけ買わず、新刊本からセレクトにセレクトを重ねて購入しているのですが、突発的に欲しくなる本も出てきてしまいます。たまたま、今月の六、七月は幸か不幸か一冊も購入したい文庫が出版されず、八月も太田忠司と恩田陸の二冊だけと今のところは見ているんですけどね。池波正太郎先生の『剣客商売』はぐっと我慢し、DVDの『武蔵坊弁慶 完全版』を購入して、テーマ曲を聴いては涙を流し、突然、サンダー杉山が悪役で登場したのでまた涙ですよ。ああ、知らないでしょ? サンダー杉山なんて。『おはよう! こどもショー』“怪獣おじさん”ってこの人でしたっけね? 国際プロレスのラッシャー木村の前のストロング小林の前のエースでしたっけ? ただのヒールでしたっけ? 人気はあったんでしたよね? わたくしも国際プロレスまではちょっと勉強不足ですし、これから勉強するかどうか。テレ東で月曜日にやっていたことしか覚えていません。ああ、あのうるせー一家のパパさん、アニマル浜口だって国際プロレス出身ですよ。真面目な顔をして、ラッシャー木村と二人で新日本プロレスのリングに乱入して来て、ラッシャーが「皆さん、こんばんは」って丁寧にマイクパフォーマンスしちゃったのは、もはや伝説でもないのですか? そうですか。
そういえば、アントニオ猪木が当時結婚していた倍賞美津子と街でショッピングをしていたら、タイガー・ジェット・シンにサーベルで襲われたのに、刑事事件にも何にもならなかったのも伝説ではないのですね。タイガー・ジェット・シンって、実は金持ちのいい人らしいじゃないですか! あの頃のプロレスに一体なんの真実があったのでしょう? ああ、真実と言えるのは、ドリー・ファンク・Jr.の前髪が本当にハゲていたことくらいですね。そうそう、レフリーのジョー樋口もハゲでしたね。ザ・ファンクスなんて、日本じゃ大人気でしたが、アメリカじゃあ単なるヒールですからね。テリー・ファンクは日本では引退試合をやりましたけど、アメリカじゃその後も現役バリバリの悪役だったなんて知らなくてもいいですよ。
しかし、さすがに最近の若い小説家の本は読めませんね。恥ずかしくて読めないのではありません。つまらなくて読めない。くだらなくて読めないのです。言っちゃあ悪いがあんまり学がない。ハルヒの谷川流さんは稀有な存在ですよ。端書きの年齢を見忘れちゃったし、見に行くのもWikipediaを開くのも面倒だけど、わたくしよりずっと若いですよね? だけど、笑いのツボも、小説のキモも、まあ心得ていますよ。でも、あんまり最近、小説を書いてなさそうですね。ハルヒの次はおそらく出ませんね。出てもわたしの死後かな、たぶん。小説家に小金を持たせるとロクなことになりません。死んでから、遺族に印税を渡すにかぎります。読者にとってはね。
コンスタントに面白い小説を書ける作家がいちばん尊い。わたくしも頑張って……今更どうするんだろう?
では。
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