第51話 幸せ?
由奈をかばった俺に、草野はやりきれない思いを俺にぶつけてきた。
「なんでそんなにもその女をかばうの!助けるのよ!」
「由奈さんはお前が考えているような人じゃない。‥‥‥それにお前も気づいてるんじゃないのか?由奈さんが秋野先輩と関係がないことを」
「‥‥‥なんでそんなこと言えるのよ」
「草野、お前秋野先輩と同じ大学行きたいために大学について調べていただろう。たぶんその時しったんじゃないのか?秋野先輩が別の女性と付き合っていた事を。そして由奈さんは関係ない事を」
「なんで、竜君にそんな事がわかるのよ‥」
「高校時代、お前と喧嘩腰で話した仲だからな。お前の話し方や態度からだいたいわかるよ」
草野は俺の言葉に反論しようと口を開くが、一瞬躊躇し、ため息を吐く。
「はあ〜。やっぱり竜君にはわかっていたのか‥‥‥」
「女性で喧嘩腰で話し合ったのはお前ぐらいだからな」
「そっか‥」
「なあ草野?」
「うん?」
「いったいなにがあったんだよ?学校では生徒からは良い先生でとおしているんだろ?」
草野は薄っすらと笑うと、今の自分の心境、を語り出した。
「私ね、もう演じるのに疲れたのよ」
「演じる?」
「そう、学校では良い先生、家に帰れば良い嫁。心が休まる時間はないのよ‥」
「草野‥‥‥旦那さんにはその事を話したのか?」
「ええ、けどあの人は私のこの気持ちを受け入れてくれなかった。あの人は自分の好きな様に生きている。結婚前はそんな事なかったのにね。結婚すると人って変わってしまうものなのかな‥‥‥」
「じゃあ、由奈さんの事‥‥‥」
「ええ、知っていたわ。秋野先輩とは関係ない事も。ただの私の八つ当たり」
そう言うと草野は俺と由奈の方を向くと、悲しい目を向けた。
「松塚さん、ごめんなさい」
「えっ?」
「あなたの事は知っていた‥‥‥それに私はあなたが羨ましかったの」
「羨ましかった?」
「そう、竜君に助けてもらえる事が」
「!」
その草野言葉に、由奈は何かに気づいた。
自分は今、幸せの中にいるのだと。
そして、その幸せは誰かの犠牲で成り立っている事を。
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