第33話 怒りの松塚 柚葉
柚葉は驚いた為に持っていたカチューシャを床に落とす。
そしてもう一度、木野 りんに確認する。
「ね、ねえりんご、もう一度聞いていい?」
「うん」
「誰がりんごを助けたの?」
「うん///竜宮橋 フミさん///」
りんは俺の名を言うと、顔を赤らめて両手を自分の顔を隠すと、恥ずかしそうに小さな声で「きゃぁ♡」と言ってます。
そんなりんの姿を見た柚葉は、いい気分じゃないですよね。
「ちょっと出てくるね」
「う、うん。どうしたの柚葉?」
「ちょっと家に電話してくる」
「う、うん‥」
柚葉の顔がさっきは興味を示すような表情をしていたが、なんだかちょっと今は怒っているような感じだ。
教室をいつもと変わらない様子で出て行き、階段を上がると、今度は早歩きで階段を駆け上がる柚葉。
「もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もう!もーーーう!お兄さんは何してんのよおおお!!!」
ダァン!と屋上の扉を開くと、なんだか怒りながらスマホを取り出す。
その頃俺は買い物の荷物を家に下ろして、病院に行く準備をしていた。
「と、保険証、保険証と。後はお薬手帳と」
「フミ君、これ冷蔵庫にしまったら病院行くわよ」
「はあーい」
俺が由奈に返事をした時、俺のスマホが鳴る。
「♪🎶♪〜、おっと誰だ?。うん、柚葉?もしもし柚葉?どうし‥」
「お兄さん!なにやってんのよお!!!」
物凄い勢いで、まるで雷が落ちたかのような声で言ってきましたよ、柚葉は。その声は台所にいる由奈にまで聞こえるぐらい。
で、
「お兄さん!りんごから聞いたわよ!」
「はあ?りんご?」
「とぼけないで!さっきモールで助けた女の子!」
「モールで‥‥‥あー、あの子りんごて言うのか、てあれ?確か木野りんて言っていたような‥‥‥」
「その子がりんご!」
「へぇー、て、なんでそれで柚葉が怒ってんの?」
「りんごは私の友人!」
「そうか、よかったな。あの時はもう少し遅れたら‥‥」
「お兄さん!」
「えっ!あっ、はい」
柚葉は物凄い勢いでまた言ってきましたよ。で今度は深いため息をすると、
「お兄さん、これ以上ライバルを増やさないでよね」
「へぇ?ライバル?なんの?」
「む〜う!(怒り)お兄さんの鈍感!恋のよ!恋!」
「うん?恋?誰が誰の?」
「あーもうー!(怒り爆発)りんごよ!りんご!お兄さんに恋をしたのよ!(更に怒り爆発)」
「はあー?俺に恋をしたあー?あの子が?」
「そうよ!兎に角今は学祭の準備が忙しいから、帰ったら事情を説明してもらいますからね!(怒り)」
「ちょ、ちょっと柚葉‥切られた」
柚葉、怒りながら切ってしまいましたよ。てか、なんで助けたのに怒られるだ、俺?
なんてぶつぶつ言っていたら由奈が、
「やっぱりあの子だったんだ」
「えっ?由奈さん知っていたんですか?」
「柚葉の数少ない友達ね」
「えーーー!だったら教えてくださいよお!俺、名前と連絡先教えちゃいましたよ!」
「だってねー、あの時はフミ君の怪我の事で頭がいっぱいでね(実は半分嘘)」
由奈は舌を出しながらテヘペロ状態で俺に謝ってきました。けどねー
俺、この後どうなるか考えただけでも気が重いですよ。
まさか、もう一人の柚葉からも責められるとは思いませんでしたからね。
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