お隣さんの絶世美少女がなぜか病弱の俺に惚れているのだが…これは母性愛なのだろうか!?
あの日。茹だるような夏の朝。俺は彼女に出会った。
俺の通っていた保育園の年長クラスのメイン行事はお泊まり会である。親と初めて離れて過ごす1日。大人への階段の第一歩、通過儀礼と言っても過言ではない。期待と不安が入り交じった心境にチキンである俺には精神的に耐えられなかった。
当日の朝。保育園に行きたくないと、だだをこねたのを覚えている。よって9時登園が10時過ぎになり遅刻をした。
「コウちゃん!遅い!」
目が大きくて睫毛が長くお人形さんのような容姿の女の子が俺が登園するなり、声を掛けて来た。
保育園の卒園児で、夏のボランティアで来ていた小学生のお姉さんだった。園児達にとって実習生やボランティアのお姉さん、お兄さんはアイドルだ。かまって欲しくてしかたがない。女子たちはお兄さんに色めき立ち、男子たちはお姉さんに遊んで欲しくまとわりつく。そのアイドルから話し掛けて来たのだ。さっきまで保育園に行きたくなかった気持ちが嘘のように俺は彼女の元に駆け出していた。
「コウちゃん何して遊ぶ?」
お姉さんは、笑顔で俺の頬っぺたをつまみながら。
「コウちゃんのほっぺたお餅みたい♪」
「むぅ…」
「あれあれ?お顔が、真っ赤だよー」
「むうむう!(ほっぺつねらないで)」
もてあそばれていた。それでも嬉しかった。俺には、愛想の悪い妹はいたがお姉ちゃんもお兄ちゃんもいなかったので、憧れというか格好良く思えた。
「赤ちゃんごっこをしましょう!」
「うん」
「あたしがお母さんで、コウちゃんが赤ちゃんね!」
勝手に配役を決められ。
「もう!コウちゃんは泣いてばかりで甘えん坊さんですね!」
演技を始める女の子。
「…」
(ああ…始まっているのね…)
「えーん。えーん」
合わせる俺。
「おんぶして欲しいのね!分かった!」
彼女はおもちゃ箱に入っていた。おんぶ紐を着けていた赤ちゃんの人形から紐を取ると俺に着けておんぶした。
彼女の背中から伝わる体温は温かく心地いい眠くやって来た――
――「んん…ここは?」
おぶられた背中が温かくて…
(お母さん…Zz)
咳き込んで疲れたせいか寝てしまっていた。
「知らない天井だ…」
(一度言ってみたかったんだよね…)
知らない天井どころか知らない部屋なんですけと。いい匂いがするんですけど。
「…」
「…………」
「何故俺は女性もののパジャマを着ている!?」
寝ぼけているのもあり状況が分からない。
そして…左腕が妙に重いし温かいと思っていたら…添い寝している!?腕枕をしているようだ。相手は
まずいでしょ。まずいよね。まずいっ!
温かいなぁ。いい匂いだ…眠くなって来た…いやいやいや!理性を働かせるのだ。お隣さんの女子の家で添い寝ってまずすぎるだろう!
壁に設置されている掛け時計の秒針の音が気になる。時刻は?
「12時30分!!」
夜中じゃないか。思わず叫んでしまった。先輩は今…寝ている?…。
「コウちゃん。お母様には泊まる事伝えてあるから…宜しくお願いしますって頼まれたの。いい子だから寝なさい」
薄めを開けながら見詰める先輩。
起きてらしたのね。
「頼むな!母よ!」
俺は小さいが健全な男子なんだぞ!舐めるなよ!逆に舐めるぞ!襲うぞ!がぉ!
馬鹿な事言ってないで寝なさいと先輩に怒られ。…
布団の中で抱きつかれた。
(動けぬ…)
昔も今も変わらなかった。俺は赤ちゃんじゃないんだぞ!しかし肌の温もりと温かさで睡魔が再び来襲して来た。
「むうむぅ…Zz」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます