4話 信頼するよ。
カフェ。初入店。
メニューを開く。もちろん悩む。
初だから。
隣の席には若いOL三人組。
ワイワイしながらキャッキャしてる。
スマホのインカメ&加工アプリが大活躍中だ。
リーダー風の女がアプリを通していないドヤ顔で語り始める。
「とにかくココは夏野菜カレー!」
私の耳が隣の席に向く。
「安いのはもちろんだけど、とにかく野菜が甘いの!カレーにもよく合うんだわ、これが!」
ほほう。
気になるな。
隣の席に三人分の夏野菜カレーが届く。
ナイスタイミング。
食べ始める。三人。
「うわ!野菜あまい!」
「カレーはそこそこ辛いんだね!でも、野菜おいしい!」
「でしょ!ココ来たらこれしか食べないもん!」
満足げな二人と自慢げな一人。
あまい、うまい、そこそこ辛い。
あまい、うまい、そこそこ辛い。
そう、呟きながらスマホをいじるOL三人組。
あまーい。
うまーい。
そこそこ、からーい。
いつのまにか隣の席は沈黙していた。
呟くのはスマホの中でやっているらしい。
「ご注文はお決まりですか。」
ウェイターが来た。
メニューを見直す。
ついでに隣の席も。
沈黙。
よし。日替わりランチで。
◆
カフェ。再び入店。
メニューを開く。再び悩む。
隣の席には
若いOL三人組はいない。
代わりにそこにはスーツを着た男。
特徴はぽっちゃり。恰幅がいい。フォルムが丸い。
以上。
その男のテーブルには料理がもうすでに届いている。
カツ丼。
カツ丼なんてあっただろうか。
メニューを再確認。
あった。
ドリンクメニューよりも後にあった。
小さいスペースに手書きで。
私がメニューを確認していると、
隣の男は出されたカツ丼をすぐさまかきこんでいた。
かきこむ。
頬張る。
箸が止まらない。
一言も、うまいとは言わない。
表情も変わらない。
とにかく箸が止まらない。
完食。一息つく。水を飲む。
表情は変わらないが、口がゆるんでいる。
ひとこと。
「よし。行くか。」
エネルギーチャージを終わらせた男はさっそうと店を後にした。
「ご注文はお決まり…」
カツ丼、大盛りで。
完食。
うまい。
ふつうにうまい。
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