第131話6-3エルフの村
6-3エルフの村
「よく来た、英雄ユカ・コバヤシ!連れの者もようこそ我がエルフの村へ!」
えーと、どこから突っ込んだ方が良いのか、出迎えてくれた八大長老の中でこの方だけは誰が見ても一番お若く見える。
ティアナ位?
人間でいえば十二、三才くらいかな?
「にかっ!」と笑ったその笑顔は非常に可愛らしい。
そして外観年齢に似合わない巨乳。
「儂は八大長老の中でも最年長のメルと言う。」
そう言って彼女はあたしたちに座るよう勧める。
ファイナス市長も八大長老の席に静かに腰を下ろす。
「英雄ユカ・コバヤシ、話は聞いた。我らエルフの貴女への恩、今こそ返せる時!して、一体何を手伝えばいいのだ?」
うーん、言動と態度が外観に見事に合っていない。
声も外観には似合うまだあどけなさが残るような感じで非常に可愛らしいのだが・・・
と、いきなりシコちゃんがメル長老に声をかける。
『相変わらず元気ねメル。それにしても知ってる顔がロメとナミ、カナルだけじゃない?ほかの子はどうしたのよ?』
「げげっ!!その声はシコちゃん!!?ま、まさかガーベル様が来ておるのか!!?」
そう言ってメル長老はきょろきょろあたりを見渡す。
『あいつはいないわよ。」
「ぬぬっ?愛しいガーベル様はおらんのか?しかしシコちゃんどこにおるのだ?」
突然のメル長老の行動にあたしとティアナ以外は呆然としている。
『ここよ、ここ!金髪碧眼の女の子の所よ!エルハイミあたしを彼女の前に出して!』
シコちゃんに言われてあたしは懐からシコちゃんを取り出す。
そしてシコちゃんをメル長老の方に向けて掲げる。
「おお、シコちゃん三千年ぶりくらいかの?なんじゃ?今はそこ子がシコちゃんの主か?」
『違うわよ、この子はガーベルの子孫、隣にいる赤髪の子もそうよ!』
「なっ!?なんとガーベル様の子孫だと!!?まさか奥方の子達か!?」
『まあそうなるわね、何代後かは知らないけどこの子たちは確かにガーベルの匂いがするもの。』
「メル様、一体どうしたのですか?まさかボケが始まったのでは!?」
ファイナス市長は心配そうにメル長老を見るが、両隣にいるお姉さんエルフに言われる。
「心配ない、その娘が掲げる杖と話しておるのだ。」
「しかし、シコちゃんが来るとはな!」
「ああ、ガーベル様がおらんのは残念だが。」
どうもこの長老たちはあたしのご先祖様の知り合いと言う事かな?
シコちゃんともずいぶんと親しそうだけど。
「エルハイミ、これってどういう事よ?」
小声で聞いてくるティアナ。
でも聞かれてもあたしだってよくわからないわよ?
「ティアナ、どうもシコちゃんたちは知り合いの様ですわ。シコちゃんどう言う事か説明してもらえるかしら?」
『ああ、簡単に言うと彼女たち四人はガーベルの女よ。浮気相手ね。』
「「ええっ(ですわ)!!?」」
あたしとティアナが同時に驚く。
事情を知らない人たちは何が起こっているか全くわからないので困惑している。
「エルハイミ、ティアナ何が起こっているか説明しなさい。」
師匠にそう言われてあたしは今までの状況を説明する。
「ええと、まず『至高の杖』と長老の数名の方々がお知り合いで、どうもご先祖様がかかわっていたようですわ。」
「ご先祖様と言うともしかして魔法王ガーベルですか?」
「はい、その様ですわ。」
「しかしガーベルの血にかかわらないエルフの長老たちにも『至高の杖』の声が聞こえるのですか?」
あたしたちが説明しているとメル長老は口をはさんで来る。
「む?我らはガーベル様のご慈悲を腹の中に沢山頂いたからシコちゃんの声も聞こえるぞ?ガーベル様と関係を持ったおなごならみんなシコちゃんの声が聞こえるようになるのじゃ。」
ぶっっっ!!!
思わずあたしとティアナが吹き出してしまった!!
ご、ご先祖様何やってるんですか!!?
しかもこんな外観のメル長老にまで手を出したぁ!?
や、野獣よ!!
へ、へ、変態よ!!!!
『だから言ったでしょ?ガーベルは変態だって。あ、ちなみにガーベルに胸大きくさせられたのはメルね、一番多く関係をもって子供産んでたはずよ?ロメやナミ、カナルも襲われちゃったけど手籠めにされてそのまま愛人コースだったわね?』
シコちゃん、それ本当ぅ!!?
あたしとティアナはアワアワ言いながら震えている。
「まあ、儂が生きておる限りガーベル様もどこかでご健在のはず。会えぬは残念じゃが『時の指輪』が外されたり壊れた感じがせんからのぉ。そう言えばシコちゃん、風の噂では奥方はお亡くなりになられたと聞き及んでおるが、真か?なれば晴れて儂がガーベル様の嫁になれるではないか??」
『あーそれは無理なんじゃない?かすかに彼女の気配は感じるから。ま、その辺はあたしも二千年近く寝てたからよくわかんない!』
うあぁぁぁぁぁ。
あまりのインパクトにあたしもティアナもまだ立ち直れていない。
今だアワアワ言っている。
「んんっ、メル様積もる話もあるでしょうが今はユカとのお話が先かと。」
見かねたファイナス市長は助け舟を出す。
「おお、これはすまんかった。ついつい旧知の友とあえてうれしくてな。さて、英雄ユカ・コバヤシよ、我々は何を手伝えばいいのじゃ?」
「長老よ、あなた方の力を借り上位精霊を四体呼び出してもらいたいのです。」
ざわっ!
「よ、四体もの上級精霊ですか!?」
他の長老が言う。
「メル様、一体でも呼び出すのに難しいというのに四体となりますと・・・」
「そうです、いくら英雄ユカ・コバヤシの頼みと言われてもそうやすやすと呼び寄せられるものではありませんぞ?」
三人の長老は口々に難しいと言っているようだけどメル長老は静かに何か考えている。
「難しいのは確かじゃが、他でもない英雄ユカ・コバヤシの頼みじゃ、何とか呼び出しをしてみようではないか?」
「そうよな、メル様しばし時間はかかるが媒介を準備しよう。」
「そうじゃな媒介があればなんとかなるじゃろう。」
「ではメル様を含め儂ら四人が一体ずつ呼び出すとするか。ほかの次代たちにも手伝ってもらわねばならんが構わんじゃろ?」
そう言ってメル長老を中心にお姉さんエルフの長老三人は他のエルフの長老に確認をする。
「勿論私共はお手伝いいたします、最古の長老たち。」
ファイナス市長はそう言ってお辞儀する。
あたしはやっと落ち着いてソルガさんに小声で聞く。
「ソルガさん、長老って最古とか次代とかって有るみたいですけど、どういうことですの?」
「ああ、長老にはメル様を最年長の最古として他に左右に座られているロメ様、ナミ様、カナル様が女神戦争の頃より生きておられるという話だ。ついでその後に次代としてバミ様、フィフィ様、唯一男のライ様とファイナス市長がおられる。最古の方々はいつもはうたたねばかリなされてよほどのことがなければ動かん。実際にこの村や外界との交流は次代の長老たちが仕切っておられるのだ。」
ああ、それでさっきはファイナス市長がメル長老がボケているのか心配していたのか。
「うむ、では英雄ユカ・コバヤシよ我ら準備できるまでしばし待っていてくれ!それまではソルガよ、ぬしがこの村をあないしてやってくれ、今宵は久方に歓迎の宴を催そう!バミ、フィフィ、ライ、ファイナス準備するのじゃ!」
「メル長老、感謝します。それとこれは異界の技術で作った我が里の酒です。味が変わりやすい希少な酒故お早めに召し上がりください。」
師匠はそう言ってあのどぶろくを取り出す。
「なんと、異界の酒とな!?それは楽しみじゃ!今宵は大いに飲もうぞ!!」
あたしは「げっ」となりアンナさんの下へ行く。
「アンナさん、ティアナと師匠が酔っ払ったらすかさず【状態回復】魔法をかけてくださいですわ!お願いしますわ!!」
あたしは涙目でアンナさんに懇願する。
「エ、エルハイミちゃん、分かりましたから落ち着いて。」
この二人が酔ってまた何かしでかしたら止めれる人がいない!
ここはアンナさんの魔法に頼るしか無いのだ。
と、師匠はファイナス市長のもとへ行く。
「ファイナス市長、マーヤは何処に?」
「・・・ユカ、無理に合わなくてもいいのですよ?」
「いえ、マーヤには伝えておかねばならないことがあります。」
どうしたんだろう、師匠?
あのいつも凛とした師匠が今は小さく見える。
「わかりました、ついてきなさい。」
そう言ってファイナス市長は師匠を連れて歩き出す。
「では、エルフの村を案内しよう、みんなついてきてくれ。」
ソルガさんの先導でみんなは別の方向に向かう。
しかしあたしは気になって師匠たちの後を追う。
師匠たちはしばらく歩いていたがやがて一家の家に入っていく。
あたしはやっと追いつき、その家の扉の前に着く。
しばし入ろうかどうか迷っていたあたしに誰かが声をかけてきた。
「あなた誰?マーヤに何か用?」
振り返ると一人のエルフの少女がいた。
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