監視係
勝利だギューちゃん
第1話
「起きて」
むにゃむにゃ
「ねえ、起きて」
グーグー
「起きろ!」
誰だ?僕の安眠を妨げるのは?
眼を開ける。
「ようやく、起きたね」
そこには、天使がいた。
一応、尋ねておこう。
「君は?だれ?」
「私は、天使。天使のみこ」
「日本的なお名前ですね?」
「本名じゃないもん。源氏名みたいなものかな?」
いいのか?
「で、そのみこさんが、何に用?」
「天使が来る理由なんて、ひとつしかないでしょ?」
「お迎え?」
「うん」
「あっそ・・・じゃあ、連れてってよ。その死後の世界とかに・・・」
「いさぎよいね」
「まあね」
みこさんは、あっけにとられていたが・・・
「でも、慌てないで。君が死ぬのは今じゃない」
「ならいつ?」
「5年後よ。病気で死ぬ」
「あっそ。でも何でそれを伝えに」
「君が怠惰に生きているから、見るに見かねて・・・」
「残りの5年は、精一杯生きろと・・・」
みこさんは、頷く。
「君が、どの世界に行くかは、この5年間の行動次第。
精一杯生きなさい。じゃあね」
消えた?
「残り5年か・・・」
わかっていた。
昨日、病院で5年の余命宣告をされた。
人間どう生きたが大切というが、いざ、現実を突きつけられると。
正直、怖い・・・
それなら、やけくそに生きてやろうと、思っていたのだが・・・
そうもいかないみたいだな・・・
でも・・・
次の日、父に呼ばれた。
「父さん、どうしたの?」
「今日からお前に、お世話係を付ける事にした」
「うちに、そんな金はないぞ」
「ボランティアだそうだ。父さんも母さんも、お前に出来る限りの事はしてやりたい」
親ならそう思うな・・・
でも、物好きな人もいるものだ。
「でも、ふたりだけでは、限界がある。
そこで、お世話係に来てもらった。」
「そう・・それで、いつ来るんだ?」
「もう、来てるぞ。お入りください」
まるで、テレビのゲストだな・・・
「今日から、君のお世話をする。みこです。よろしくね」
天使?
なぜここに?
「君を監視するためよ」
「どうして?」
「それはね・・・」
「うん」
【君は、私の世界に来てほしいから】
監視係 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます