めいどかふぇ その1
「行ってらっしゃいませご主人様! にゃん♪ にゃん♪」
甘ったるい声がお店の中に響き渡ります。
2人組の男の人が、その声に背中を押されて店の外に出ていきます。ちょっとニヤけた顔で手を振る2人に、メイド服を着てネコ耳を付けた女の子が応えます。
「またのお越しをお待ちしていますにゃ~♪」
ノリノリですね~。やがて店のドアが閉まり、からんからん、と涼やかな鈴の音が店内に鳴り響きます。
ここはとある喫茶店です。まぁ、普通の喫茶店じゃない事は言うまでもなく分かって頂けるとは思いますが。
「よぉし、お絵かき完了にゃ! それじゃあ〝なお〟の魔法でこのオムライスをもぉっと美味しくしちゃうにゃん♪ お嬢様もさっき教えたとおりにして下さいにゃ! せーのっ、萌えキュンにゃにゃにゃで美味しくなぁれっ♪」
『にゃん♪ にゃん♪』
「ふわぁ、ありがとうございますにゃご主人様! みんにゃ~、〝みらい〟のご主人様が『ロシアンブルーカフェオレ』を飲んでくれるそうだにゃ~」
『ご主人様、ありがとにゃん♪』
はい、なんかもう異世界です。ようやく慣れてきましたけど。
さて、そろそろだと思うのですけど……あ!
「お帰りなさいませご主人様! 〝いつき〟がお出迎えさせて頂きますにゃ……待ち合わせ、ですかにゃ? 少々お待ちくださいにゃ!」
来ましたね~。……あ、はい。さっき言ってた私の連れが彼ですにゃ。
「ではお連れしますにゃ~」
私の言葉を受けたネコメイドさんが、軽いステップで入り口に近づきます。
「〝いつき〟にゃん、そちらの方は〝まどか〟のお客様のお連れ様らしいにゃ」
「あ、そうでしたかにゃ。にゃら、あとは〝まどか〟にゃんにお任せするにゃ!」
「任されたにゃ! ではお客様、こちらへどうぞにゃ!」
うふふ、戸惑ってるのが表情で丸わかりですね~。
「お嬢様、お連れしましたにゃ!」
ありがとうございますにゃ。注文が決まったらまた改めてお呼びしますにゃ、〝まどか〟にゃん。
「分かりましたにゃ! メニューはそちらで、呼び鈴はそちらになりますにゃ。それではいったん失礼しますにゃ!」
ぺこりと可愛らしく頭を下げたネコメイドのまどかちゃんは、慣れた感じで店の奥に引っ込んでいきます。
さてさて……お久しぶりですね~。急に呼び出しちゃってごめんなさい。
……何で連絡先を知ってるのか、ですって? うふふ、それはもう色々と……ね?
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