第21話 その日まで

「っという事なので、アレン・クロースを、TCUからの除名を検討したい。アレンの除名に賛成の方、挙手を!」

すると、傍聴者も、政府側の人たちも皆手を挙げだした。エレンはその状況に慌て始めた。

「いやおかしいでしょ!なんで今それを決める必要がある!今はテロ対策基本法を変えるかどうかの会議でしょ!」

「ですがこれはTCUの信用に関わる大事な事ですよ?必要はありますよ。だって、国を乗っ取ろうとしたその人を誰が信用しますか?」

「くっ…そが…!」

エレンは怒りを堪えながら手を強く握った。

相手は卑怯だ。何を言っても言い訳してくる。

「ただ、何が変わろうと、アレンさんは、国を乗っ取ろうとした。これは変わりありません。」

「ふざけるのもたいがいにしろよ…!アレンさんはそんな事しない!国を乗っとる?アレンさんが裏切り?ふざけるな!俺たちだって、お前の不正だってしっ…」

すると、アレンがエレンの服を引っ張り、止めた。アレンは鋭くセリスを睨みつけていた。

セリスはまたニヤっと笑いアレンとエレンを睨みつけた。

「今はまだそれを言う時じゃねー。まだ、耐えろ…」

「不正がなんですか?賄賂収賄?金の横領?そして…夜道の殺人鬼と関係がある…とか?」

アレンは力が抜けたように座り込んで、頭を必死に抱えた。

「何故だ…何故あいつが知ってる…俺たちが疑ってる事を全て知ってるんだ…これを知ってるのはTCUでも上部の人だけ…まさか、その中にいるのか、裏切り者が…」

「ですがそれは証拠がない。根も葉もない事を軽々しく口に出すな。」

場は固まった。静まり返り、ただただ、傍聴者のざわつき声が聞こえるだけだ。

すると、マギトが机を叩いた。

「これはなんのための会議だ!人の不正を暴いたりする会議じゃねーだろうが、てめぇらのくだらない事でつまらん言い争いしてんじゃねーよ!セリスさん、この会議は一旦やめましょう。話が全く進まない!」

「そうですね、やめましょうか。つまらない言い争いは。」

セリスは丸い机に紙を出し、何かを書き始めた。数分経つと、セリスはそれを掲げた。

「よって、第1会議は、引き分けとする!」


セリスがそう言った後、場はみんな解散した。エレンとアレンは、怒りを抑えるのに必死だった。

会場を出たすぐそこに、太っている記者と、女の人の記者が話していた。

「今回の1面は」

「引き分けでしょうか?」

「いや、アレン・クロースのクーデターにしとこうか」

そこに、エレンが入った。

「てめぇら何言ってやがる、」

エレンはその太った記者を壁においやった。

「アレンさんはクーデターなんか起こさせやしない!お前らに何がわかる!訳わかんない事を記事にすんなよ!」

「こ、こっちにだって表現の自由がある!何書くかは自由だろ!」

エレンは睨みつけ、胸ポケットから拳銃を出そうとした。だが、

「やめとけ、エレン。そんな豚1人殺しただけで何かが変わる訳でもない。帰るぞ」

「くっ…そ…」

エレンは怒り心頭に壁を蹴った。壁は少し凹んだ。

帰り道、セリスが立って待っていた。

「お前…!なんであの時、関係ない質問をした!」

「…ははっ、すみません、口が滑りました」

セリス笑い、帰っていった。エレンはなんも感じなかった。怒りで頭が真っ白になった。

アレンもそうだった。帰りながら、エレンはずっと手を握りしめていた。


本部に帰ると、アランが話しかけてきた。

「エレン、どうだっ…」

「すまん、話しかけないでくれないか?」

「お、おう…」

エレンは自分の部屋に帰った。アレンは総長に結果を伝え、その日は寝た。


次の日、エレンが総長の部屋を訪れると、スーツ姿のアレンが部屋から出てきた。

「アレンさん、その服は…?」

「俺はもう、TCUを退く。」

…………は?

エレンはいきなりの答えに驚いた。なぜ辞めるのか分からない。エレンは少し混乱してきた。

「なぜ、辞めるんですか!?」

「今日の新聞を見たらな、何もかも俺へのバッシングだ。俺がいると、TCUの信用に関わってくる。信用がなくなる前に俺がやめる。これでいい。」

「……でも、でもそれじゃセリスに!」

「負けたわけじゃねーよ。俺は1人であいつに立ち向かう。あ、あと、俺の隊は解散させるな、あの兵たちはみんな強い。だから解散させるなよ?そしてその隊は、お前が引き継げ。それが俺のTCUとして最後の願いだ。その事もちゃんと総長には言っといた。」

エレンは頭が追いつかない。なんでセリスのせいでアレンがやめなければならないのか。

そして、エレンがアレンの隊を引き継ぐ、エレンは自分には出来ない。そう思ってた。

「俺には出来ませんよ…あの隊はあなたが育てた最強の隊です!俺が引き継ぐなんて…」

アレンはエレンの頭を撫で、笑顔になった。

「俺はお前を信じてる。前を向くんだ。あの隊を強くできるのは、俺以外に、お前しかいない。あとは、頼むぞ。お前は俺の期待の弟子だからな」

アレンはエレンの肩を叩き、本部を出ていった。エレンはその場に泣き崩れた。

彼はもう、いなくなったのだ。エレンはその現実を、まだ受け入れられなかった。

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