第18話 國

その日から3日経った。毎日のように作戦会議が行われていたその日、TCUを揺るがす報告が飛んできた。

「報告です…。政府の誰かと、麻薬取り引きをしていた人をひっ捕らえました。」

「なんだと!?その、誰かってのは誰だ!」

「それは…まだ分かりません…!」

その情報は、上手く使えば国に勝てるかもしれない。そう希望が見えてきた時、アレンが机を強く叩いた。

「って事は全て辻褄が合うんじゃねーのか?」

「ど、どういうことだ!?」

アレンは腕を組み、近くの椅子に座った。そして、みんなを睨みつけ、答えた。

「前回の電車毒ガス事件。犯人は元TCUと、SCOPの幹部。だが、元TCUでも、旧型である229を使っていた。それをおかしいと思ったやつもいるだろ。だが、それをそいつらに渡した、そして、そいつらに協力した裏切り者がTCUの中にいるんだろ、偉い身分のやつだよ。何故襲ったのかは知らんがな。」

「だが裏切り者がいるって決めつけられるのはまだ早いんじゃ…」

するとアレンは329を手に取った。そして、その場のものに説明を初めた。

「329と229の弾は同じ。だが、銃の型が違うだけだ。だが、戦闘中には弾切れが起きるだろ、だが、あいつらはその弾を持っているはずがない、意味わかるか?あいつらに弾と銃を渡したやつがいるんだよ。これが何よりの証拠だ。どちらとも、世間に売られていないし、取り引きもされてない。全てこちらが預かっているものだ。」

エレンは顎に手を添えて、考えるポーズをとった。そして長く考え、導き出した答えは、

「国と裏切り者、SCOPはみんな繋がっているということですね…麻薬を買う条件に、SCOPの有利な情報を渡す。そして、SCOPから兵士を出さずにテロを起こす方法、つまり、金で雇った元TCUの兵士を使って今回のテロを起こした。」

「それだけじゃねー、その武器を渡す場所、取引場所があるはずだ、そしてその場所は、今回テロが起きたあの駅だこれで辻褄が合った。爆破したのが何よりの証拠だ。だが、おかしいのは、国を守るために兵士になった元TCUが、金だけで国民の命を奪うか…となると、話は別だが、とりあえずこの方向で行くぞ。」

アレンはその場を去り、エレン達も作戦会議を終わらせた。今回、エレンは少し驚いていたのもあるが、何故か、安心したような感覚であった。少しばかり重くなっていた肩も、段々と軽くなっていく。

ふとエレンがラジオに耳を傾けると、重々しいニュースをやっていた。

『また今夜現れました。夜道の殺人鬼、今回は2人殺されました。殺されたのは元兵士、グリム・スベンチャー氏と、元TCU作戦会議班班長イグニウス・ウォーバの2人です。犯人の特定を急いでいます。』

どうにも不謹慎なニュースだなぁとエレンはそのニュースを聞いてその場を去っていった。夜道の殺人鬼…そんな殺人鬼がいるということが、後に大事件を起こす。

「国にも、裏があるんだな…」

エレンがふと口にしたその言葉に、アレンが答えた。

「誰にだって裏がある。人間はコインみたいなもんだ。だが、みんな表しか見ない。だから壊れる。国を信じるな。裏を見ても大丈夫だって思えるやつと仲間になれ。仲間は時に命を救う。」

エレンは軽くお辞儀して部屋に戻った。

本当に信じられる人、それは、アランの事か…?

「おい、エレン、どうかした?アレンさんになんか言われたの?」

「いや、本当に信頼出来るやつって、お前かなって思っただけだよ…」

と、少し笑いながらアランの肩を叩いて部屋に戻った。アランも少し照れたのか笑いその場を去っていった。

その日の夜エレン達は緊急会議を始めた。

内容は、国と全面対決する臨時会議でどうするか。

「その情報を持ち出したやつを連れていけばいいんじゃないか!」

「いや、それだとこっちに裏切り者がいることがバレる。こちらとしては、1回目は負けてもいいと思う。そしてその間に裏切り者をさらけ出すのがいい。」

そうだ、裏切り者がいるとバレたら、TCU全体が国に謀反を起こしていると考えられかねない。ただでさえ国はTCUを陥れたいのに、そこで裏切り者が出ると、いいように使われる。

すると、一人の男が焦った様子で来た。

「今来た情報です!!TCU元総長、クリス

・ベーカー様が、何者かに数箇所刺され、道端で息、絶えていました…」

「なんだと…!?」

そういえば、さっきもニュースでTCU関連の人が殺されていた。夜道の殺人鬼に…。

一体何者なのだろうか?これ程TCUに執着して殺すなんて、SCOPの仕業なのか…?

エレンはそんな事考えていた。だが、事態は思った以上に重かった。

「やばいぞ…」

「えっと、なんでそんなにやばいんですか?」

男は、暗い顔をして答えた。

「実はな、そのクリスさんは、俺たちが今変えようとしてる『テロ対策基本法』を最初に発案した先駆者なんだ…。これまで俺たちと一緒に活動してたし、情報も与えてもらっていたりしていた。俺たちの頼りの綱だった…」

「これはおかしい…恐らく国が関係してんじゃ…」

エレンは驚いていた。自分が守っていた国は、そんな腐っていたのか?なんのために守っていたのか、自信をなくしていた。

「そんな事はわかっている、だが、証拠がない…」

その日、そのまま会議が終わった。エレンはその場を去って本部を出て街に出ていると、背の高い眼鏡をかけた男の人が話しかけた。

「お初にお目にかかります、私は、大統領秘書である、セリスであります。」

「な!?」

エレンはその場に固まった。何故か身体が動かない。セリスは、肩を軽く叩き、耳元で囁いた。

「お前らが守ろうとしたやつはこんなに汚いってのわかっただろ?そうだよ、汚いんだよ。だが守るのは何故だ?金だよ。権力だよ、お前らが足掻いたって戦況が覆ることは無い。むしろ、お前らの頼みの綱が切れてくだけだ。だがな、ただ一つ辞めさせることも出来る。それはな…」

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