第61話 遭遇

《金石視点》


 戦争の最中、僕とブラックは乱戦の外側で傍観していた。


 おいおい。

 本当に戦争が始まってしまったじゃねぇか。


 もう、こうなってしまったらどうしようもない。

 誰にも止められない。

 止めることは出来ない。

 アクセルを踏みっぱなしで暗黒世界の中に足を踏み入れてしまう。


 それが戦争と言うものだ。


 どうやら、僕の機体は出動していないようだ。

 一機がこちらに突っ込んでくる。

「おい。ブラック。こっちに一機来るぞ」

「ああ。分かってるよ」


 魔装光線銃マジックビームライフルを敵に向ける。

 スコープを覗き、クロス&ドットで敵の照準を合わせる。


 まだ、距離はある。

 慎重に。落ち着いて敵を撃て。


 息を大きく吸い込み、空気を肺に送る。

 息を吐いて、空気を再び体外に押し出す。

 ――――落ち着け。


 僕なら出来る。


 バクバク動く心臓の音を鎮める。

 良く狙え。


 トリガーに人差し指を掛けて、数回引く練習をする。


「よし」

 トリガーに人差し指を掛け――――。


 照準に注意深く合わせてタイミングを窺う。


 ――――今!


 トリガーを人差し指で押す。

 銃声と共に銃弾が銃口の中から飛び出る。


 一直線に敵の頭部に回転しながら飛んでいく。

 取った!!


 そう思ったが、銃弾は敵の機体の頭部を掠めて空を切って飛んで行った。

 代わりに、別の機体の腹部を貫通していった。


『おい。来るぞ』

『わーってるって!!』


 背中の鞘から光輝剣ライトニングソードを取り出した敵が凄い勢いで僕たちの方に向かって来ていた。


 対抗する為にライフルを捨てて、こちらも光輝剣ライトニングソードを取り出す。

 斜め上に剣を振り上げる。


 ギィィィィン!!!!


 ――――剣閃。

 火花が周囲に飛び散る。


 金石も応戦するが、敵の腕の良さと言ったら……。


 かなりの強敵だ。


 見たことの無い型――――流派だ。

 が、強敵であることに変わりは無い。


 水平斬りで攻める。

 が、切り上げられてしまう。


 金石が援護してくれたが、力技で押し切られてしまう。


 技量だけじゃない。

 機体の性能も敵の方が上だ。


 このままでは僕たちはやられてしまう。

 何もかもが敵の方が上。

 どうすれば……。

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