第55話 国の闇
「くそ。金石、逃げるぞ」
「ああ」
俺たちは再び街の中心地へと走り始めた。
「お、おい。待てお前ら!! お前たち追うぞ」
「おう!!」
が、敵に囲まれていることに俺は気付いた。
「邪魔だ」
念力を使って敵を吹っ飛ばした。
巨人に放り投げられたかのように獣人たちの体は四方八方に飛んで行った。
森の中を二人で走り抜ける。
が、敵の身体能力は俺の想像を遥かに超えていた。
彼らはすぐに立ち上がり、追いかけて来た。
地面を走る奴もいれば、木と木の間を飛んで移動している奴もいる。
俺たちと奴らの距離はみるみるうちに縮まっていった。
このままでは捕まってしまう。
金石の手首を掴んで
「よし。着いた」
無事、目的の場所に着くことが出来た。
「い、今何が起こったんだ?」
金石は、今、何が起きたのか全く把握していないらしい。
まぁ、そりゃそうか。
始めて
だから、一応彼に説明をする。
「
「
きょとんとした顔で俺と目を合わせる。
「そうだ。まぁ、ここまで広範囲に
「へぇ。お前、本当に凄いのな」
彼のその言葉に嘘偽りは一片も混じっていなかった。
それは分かっていた。
が、俺の胸は針を刺したかのようにチクチク痛む。
脳裏に死んでいった仲間の顔が浮かぶ。
――――ブラック、イエロー、ブルー、レッド。
彼らの顔が。
「そんなことないよ」
これは自分の力ではないのだから。
「早く行くよ。キーっていう女の子を見つけるんでしょ」
「あ、ああ。でも、それにしても、あいつらは何だったんだ?」
「さてね……」
誤魔化すことにした。
別に言っても言わなくても変わらないだろう。
世の中、知らない方が良い場合の方が多い。
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