第24話 傷跡の再会
機動レバーを押す。
電子画面が起動し、青白い光がコックピットの中を照らす。
「金石賢人、行きます」
ゴゴゴゴゴゴゴという機動音。
――――発射。
電子画面を通して外の世界を視る。
世界が走る。
外の世界が拓ける。
前方には数体の
味方だ。
彼らの両肩には本国『パンドラ』の国旗と同様の模様が描かれている。
片手には槍やら斧やら剣やら銃やら様々な武器を持っている。
両足からは、魔核から生み出される膨大な魔力が放出される。
この機体からも機動音は聞こえるのだが、何で動いているのかはさっぱり分からない。
技術国家『パンドラ』のことだ。
恐らく、電気関連なのだろうと考えられる。
前方700m先にレーダーが反応した。
敵だ。
一筋の藍色の光線が空を貫いた。
散開。
静寂の闇は破られ、その空間内は銃撃戦と化す。
様々な光線が闇夜の中で彩る。
背中の剣を取り出す。
レーダーが敵の魔力を感知する。
来る。
右に移動。
――――直後。
深紅の一線が闇夜を裂く。
頭部の横を通り過ぎて行った。
あ、あぶねえ。
あと少しで直撃していた。
右足のペダルを踏み抜く。
――――最高速度。
背中の
水平斬り。
深紅の斬撃が曲線を描く。
金属音。
敵の槍とぶつかり合い、緋色の火花が紅蓮の華を咲かす。
くそ。
やっぱりか。
一旦距離を取る。
敵の槍が横に薙ぎ払われる。
剣で防ぐ。
刀身と犇めき合い、火花を散らす。
右足で腹部を蹴られた。
「ぐっ……」
後方へ吹っ飛んぶ。
くそ。
強い。
と、その時――――。
紫色の光線が横切った。
「ぐわぁぁぁぁ!!」
目の前の敵の体に直撃。
加えて、仲間のコックピットにも直撃した。
「な!?」
仲間ごと殺すだなんて……。
弾道を辿り、撃った奴を探す。
その先には――――。
時雨がいた。
いや、正しくは《黒騎士》だ。
「あ、あいつは!? 《黒騎士》だ!!」
仲間の1人が叫ぶ。
太刀さばきは時雨のそれだった。
黒光りする剣の刀身。
彼女は稲妻の如き剣さばきで仲間を斬り裂いていく。
「くそっ!!」
仲間の1人が詠唱を始める。
火系統の呪文――。
緋色の魔法陣が手の前に現れる。
そこから、手と同じくらいの大きさの火玉が突如として現れた。
「これでもくらえ化け物め!!」
火の玉が術者の掌から発射される。
砲弾の如き速さで《黒騎士》の方へ飛ぶ。
《黒騎士》はそれを猛進しながら上へ避ける。
「なっ!? く、来るなぁ!!」
彼がそう叫んだ時には、《黒騎士》の黒刀の矛先は彼の首筋に当たっていた。
――――刀閃。
頭と胴体が離れ、爆炎に包まれる。
《黒騎士》の顔が俺に向く。
来るか。
突進。
もう、どうにでもなれ!
「うおおぉぉ!!」
剣を奴に向かって振りかざした。
――――振りをした。
右足で奴の胴体を蹴る。
左腕で防がれた。
けど、攻撃は出来た。
この攻撃は彼女も予想出来なかったらしい。
「この機体……やはりあなたなのね」
同調デバイスを通じて時雨の声が聞こえた。
「ああ」
どう返事をしたらいいのか分からない。
昨日まで味方だった人間が敵となって目の前にいるのだから。
「昨日までは味方だったから殺さなかったけど、今度は敵同士。殺してあげるわ」
「望む所だ」
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