続・インスタント・ラブ(続)

八百本 光闇

私は賢者となりました

 俺は家に帰るないなや、専業主婦の母の声も聞かずにさっさと二階の自分の部屋へと帰っていった。


 俺の部屋は光の写真で一杯だ。もう忘れたい。


 「ふぅ。さて、どうするか・・・・・・」

 もう開けてしまったカンのふたの中身は、もうとっくに炭酸は抜けて、ただ甘い臭いだけが部屋中に舞った。

 

 とにかく中身を調べようと思い、コップに液体を入れる。


 「うわ、これ。じゃん」

 呟いたのは液体はどこかで見たような黄色っぽい白だったからだ。どろどろしていてかなり濃い。

 アレだ。男に出る。


 「飲むのか・・・・・・これを」

  

 絶対不味い。美味しくない。が。


 八千円を無駄にするわけにはいかない。

 それに不味さを克服すれば女も手に入るはずだ。あんなことやこんなことができる。


 ま、待ちや!不味い。美味しくないんやろ!それに、あの自動販売機で買ったやつ!覚えてんのか!


 俺の関西弁の理性と、俺の冷静な欲望がせめぎ合ったが、もちろんだが欲望が勝った。

 

 「・・・・・・」

 俺は飲み始めた。少しどろっとした舌の感覚。つんと香るあまい臭い。


 「――!ぁっ、アッ」

 涙が出るくらい不味い。中途半端な炭酸も不味さを後押しし、あまい臭いのくせに苦酸っぱい。味とどろどろと色はまさしく男のアレだ。

 今から時間を戻して飲まなければどれ程良いだろう。


  

 え、なんでそんなアレ味を知ってるかって?

 ――――――まあ、良いだろう。


 

 「ん、はぁ・・・・・・」

 時計を見ると、五分位しかたってなかった。時間と言うものは遅いものだ。

 腹に白い液体がたまった感じがする。お腹一杯だ。飲んでるときは不味かったが、今思えば、そう悪いものでもなかった。


 そうして白い液体の感想をくどくどと考えていた。が。


 「ん?」

 何故か下辺りが急に熱くなった。そして瞬く間もなくアレが溜まって。

 

 

 「ん゛ぬほおぉ・・・・・・」

 喘いだ。俺は。白夢を飲んだだけで。


 ヤバイ。だれとしているわけじゃないのに出る!


 「あ゛ん。あ゛ぅん・・・・・・」


 一人なのに気持ちいい。喘ぎ声が大きくなっていく。

 性欲が抑えられない。 


 俺は気持ち良すぎてその場で倒れた。もう他のやつらなんてどうでもいい。自分しか見えはしない。


 そのままの勢いでで俺は床に倒れ、さっさと上着と下着を脱いで、やはり楽しんだ。




 



―――――――――――――――――――――――――


 キンコーカーンコー


 やや特殊なチャイムをならすのがこの学校、霞浦高校の特長である。


 「よっ!亮」

 

 いつもの様に遅れそうになった俺だったが、今日もなんとか間に合う。そしてやはりはやく来ていた亮に挨拶をした。


 「私の友達、光一。私は、夢から覚めました。もう、性なぞにはとらわれません」

 は?


 俺は全く別の世界、別の人物を見ているようだった。

 いつもなら、『おお、光一。今日も間に合ったのか』的なことを言うはずなのに。


 「ど、どうしたんだ亮?なにか悪いものでも飲んだか?」


 「いえ、私は、変わってなどいません。戻ったのです」

 亮の机の中身をふと見ると、性格が百八十度回転したような綺麗さになっていた。


 「マジどうしちまったんだ?冗談か?」

 そして亮ははっきりとした目を向け、言った。


 「私は賢者となりました」

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