生命と共に愛を受け取った
ある魔女は言った。これはお前のせいだと。お前が人を愛さないのが悪いのだと。だから私に呪いをかけた。一生消えない、黒き紋。これがある限り、私の命は長くは保たない。
あるとき私の前にある青年が現れた。彼は人を愛せるし、誰にも尽くせるような人だった。
私は彼を愛さなかった。けれども彼と一緒にいるのは心地よかった。心が明るくなるような気配がする。けれども私は彼を愛さなかった。
そうした中、村に火が放たれた。悪党どもの襲撃。人々は死ぬ。その犠牲者に彼がいた。すぐさまそちらに駆け寄った。なんとか助けようとしたけれど、時すでに遅く。
息絶える代わりに彼は告げた。どうか、生きていてほしいと。
私の頬を涙が伝う。その意味が分かった。ああ、そうかと腑に落ちる。
瞬間、肉体に刻まれた紋がようやく消えた。
呪いを打ち消すように彼は逝った。彼が与えてくれたのは希望だけではない、愛や生命力。そして勇気。だからこそ私は今日も歩いていける。それでもほんのり寂しくて。悲しくて。喪失感がときおり胸をかすめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます