生命と共に愛を受け取った

 ある魔女は言った。これはお前のせいだと。お前が人を愛さないのが悪いのだと。だから私に呪いをかけた。一生消えない、黒き紋。これがある限り、私の命は長くは保たない。

 あるとき私の前にある青年が現れた。彼は人を愛せるし、誰にも尽くせるような人だった。

 私は彼を愛さなかった。けれども彼と一緒にいるのは心地よかった。心が明るくなるような気配がする。けれども私は彼を愛さなかった。

 そうした中、村に火が放たれた。悪党どもの襲撃。人々は死ぬ。その犠牲者に彼がいた。すぐさまそちらに駆け寄った。なんとか助けようとしたけれど、時すでに遅く。

 息絶える代わりに彼は告げた。どうか、生きていてほしいと。

 私の頬を涙が伝う。その意味が分かった。ああ、そうかと腑に落ちる。

 瞬間、肉体に刻まれた紋がようやく消えた。

 呪いを打ち消すように彼は逝った。彼が与えてくれたのは希望だけではない、愛や生命力。そして勇気。だからこそ私は今日も歩いていける。それでもほんのり寂しくて。悲しくて。喪失感がときおり胸をかすめた。

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