自転車

ゆっくりと、あなたの漕ぐ自転車が進む。

私はあなたにつかまって、頬を背中にくっつけている。

晴れた日の河川敷は、ところどころに家族連れがいてそれなりに盛況だ。

「ねえ」

私の声に、あなたが気づいたかは分からない。

でも、私は続けた。

「私、あなたのことが好き」

返事はない。

自転車のスピードも、そのままだ。

「そっか」

私はそうつぶやくと、あなたをぎゅっと抱きしめた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る