第43話 特殊スキル
「おっ……」
思いがけず飛び出した★に、思わず喜びの声を漏らしてしまう。
一方、プゥルゥは自分の頭の上をじっと見ている俺のことが気になるようで、不思議そうにしていた。
「マオウさま? ナニみてるの?」
「え?」
そっか、★って俺以外には見えないんだったっけ。
「あ、ああ……景色?」
「そう?」
彼女は首を傾げるが、それ以上何か聞いてくるわけでもなく、それきりだった。
「そういえば、さっきの動物……っていうか魔物? あれって……やっぱり、最初に飛び出してきたあの可愛らしいのが、でっかくなったの?」
「そうだよ。マオウさまが、せなかをむけたシュンカンにガァーッって、わるいかおにヘンシンして、おそいかかろうとしたんだ」
「……」
あんなにモフモフだったのになあ……。
見た目では分からないもんだなあ……。
残念でもあり、恐ろしくもあり……。
「それで、あの生き物だけど、プゥルゥは何だか知ってる?」
「うーん……ザンネンだけど、ボクもみたことがないヤツだったよ。でも、このモリはフカイからね。シリョウいがいにも、いろいろなドウブツやマモノが、ジブンたちのすみかにしてる。みたことがないモノがいても、それほどふしぎなことではないかも」
「ふーん、そっか」
把握できないくらい広大だからこそ、潜むには丁度良いってことだろうな。
さて、変な生き物のことについてはそれくらいにして、ステータスを確認しよう。
★を見た時から、早くチェックしたくてウズウズしてたのだから。
というわけで、
[ステータス]
名前:魔王
レベル:5 ★:295
HP:4080/4080
MP:3402/3402
攻撃力:724 防御力:658
素早さ:493 魔力:681
運:703
特殊スキル:
やった! レベルが上がってる!
前回よりペースが早いぞ? もらえた★の量が多いのか……。
で、一通りざーっと見回すと……ん?
なんか、ちょっと変わった気がするぞ……。
うーん、なんだろう……この違和感。
あ…………分かった。
すごく小さな変化でパッと見、分からなかったが……。
特殊スキルのレベルが上がってるぅぅっ!
特に
前回レベル26だったのに、27になってる。
こんなの普通に見逃しちゃうだろ。
でも、ここに来て、どうしてレベルが上がった?
今まで全く変化無かったのに。
順当に考えたら、さっきスキルを使ったから……ってのが、一番答えに近いと思う。これまで★の獲得ではレベルアップしなかったわけだし。
経験値とは別に、スキルは使えば使うほどレベルアップするっていうゲームもあるから、そういうことなんだと思う。
でも、
俺は今、自分が立っている森の道に目を向ける。
そのスキルのせいで、この道が出来ちゃったんだからな。
じゃあ二つのスキルの違いってなんだろう?
まず元のレベルが違う。
ということは、次のレベルまでの必要経験値が違うってこと?
それもあるだろう。
でも、大きな違いは、そのスキルで敵を倒したかどうかだ。
やっぱり、レベルアップの条件はスキルで敵を倒す。
この線が濃厚だろうな。
そんなふうに特殊スキルのことを探っていたら、スキルについても
今更か! とも思ったけど、ともかく見てみよう。
[
高速で撃ち出される地獄の業火を纏った砲弾は、あらゆるものを焼き尽くす。
威力はある程度調節可能。
ああ、確かに。かなり焼き尽くしちゃったよな。
威力はある程度調節可能って……全然調節出来てないんですけど!
じゃあ、もう一つのは方は……っと。
[
飢えた獣のような牙に一度食い付かれれば最後、決して逃れることは出来ない。
もし、捕食した対象の中に有用な素材が確認された場合、自動的にアイテムボックスへと保管される。
え……倒すだけじゃなくて、素材を自動的に保管してくれるの?
便利じゃないか。
ってことは、何か新しい素材が増えてるかな?
[素材パレット]
・カーバンクルの宝珠×100 NEW!
・カーバンクルの毛×300 NEW!
おおっ!?
カ、カーバンクル??
こんなのいつ手に入れ…………って今か!
俺とプゥルゥを襲った、あの生き物はカーバンクル。
状況的に、そう考えて間違い無いだろう。
ってか、カーバンクルって伝説の聖獣とかそんなんじゃなかった?
こんな簡単に遭遇していいもんなのか?
自分の中のイメージと違って、かなり凶悪そうだったし……。
本当かよ、って思うけど、俺のコンソールは嘘吐かないし、実際そうなんだと思う。
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