第53話王家専属冒険者とスキル肉<改>
「イエンが見えてきたよ!」
太陽が海に沈むのを見ていたリオが叫んだ
『スキル肉・改』のレシピを考えている間に、イエンが見えてきたようだ
「このまま、造船所のところに魔導船を停めるぞ」
「ジンさん!もう帰ってきたんですか!?」
俺が魔導船を停めて、造船所に降りるとティムさんが驚きながら近づいてきた
「次は南のダンジョンに行くことになったんで、王都に行く前にここに寄らせてもらいました」
「と言うことは、北のダンジョンを攻略したのは、ジンさんでしたか!ジンさんなら、とは思っていましたが、まさか、こんなに早く攻略してしまくとはね!」
「それはそうと·····
「もう出来上がってますよ!後は装着して最終調整をすれば完成です」
「ジン!やっぱりジンが攻略したのか!」
俺とティムさんが話していると、レンが造船所の奥から出てきた
レンの後ろには、ユダが付いて来ている
「レン!ユダ!先にダンジョンは攻略させてもらったぞ!」
俺は2人に笑顔で手を振る
「ユダの体調はもういいのか?」
「まだ痛みますが、骨はくっついたので問題ありません!」
「こいつ、お前達がダンジョンに向かった後に、肋の骨が治ってもないのに『治ったので向かいましょう!』って毎日言ってたんだぞ」
レンが笑いながらユダの肋を突いている
ユダの顔が悶絶寸前だ
「レン達は魔導船を手に入れるために造船所に来たのか?」
「王が中々魔導船を譲ってくれなくてな·····仕方ないから王都周辺の高ランク依頼を、片っ端から受けて金を貯めてきた」
「それじゃ、まだ持ってないってことだよな?それなら、この魔導船を使わないか?」
「いいのか?南のダンジョンに行くのに使うかも知れないぞ?」
「好きに使ってくれ、タンクには魔力がしっかり入ってるから明日の朝から出発できるぞ、この魔導船なら半日あれば、北のダンジョンの島に行けるはずだ」
俺はレン達に魔導船を譲ることにした
これは、2人の出発を遅れさせたことに対する、罪悪感
ではなく、単に
「本当にいいんだな?後で返してくれとか言うなよ?」
「もちろんだ、操作方法は魔力を流すだけだが、少しだけコツがあるから、教えてやるよ」
俺とレンは魔導船に乗り込み、使い方を全て教えた
「
魔導船から降りてきた俺にティムさんが小声で聞いてきた
「
「まさか、あの人もジンさん並の魔力を持っていると言うことですか!?」
ティムさんが口を開いてレンを見ている
「まぁ、そうなりますね·····それで、装着と最終調整は明日の朝までにできそうですか?」
「·····あ、はい!問題ないですよ、1時間ほどで出来るかと思いますので、魔道二輪はあの辺にでも、置いておいてください」
ティムさんが造船所の一角を指さしながら言ったので、みんなが魔導船に夢中になってる間にアイテムボックスから取り出した
「それでは、明日の朝に取りに来ますので、よろしくお願いしますね」
「ジン!飯を食いに行こうぜ!金が大量に浮いたから、今日は俺が奢ってやる!」
レンが上機嫌で造船所から出ていったので、俺達も後を追いかけることにした
その日の晩はレンの奢りで少し改良されたイカ料理を食べ歩いた
レンは日本で食べていた料理をみてかなり驚いていた
「もぅ·····食えない·····」
レンがギブアップを宣言したので、その日は解散となった
俺はとうの昔に限界だ
「この前泊まった宿でいいよな?」
「そうだね、明日よ朝から造船所行くなら、あそこなら近いし、いいんじゃないかな?でも、本当によかったの?魔導船をあげちゃって」
「ん?あぁ、いいんだ、海を渡る方法は船だけじゃないからな、それにしても、前に来た時より冒険者が多い気がするな·····」
「そうだね·····みんなダンジョン目的なのかな?」
「ダンジョンはBランクからの依頼だから、全員がそうじゃないだろうが、ダンジョンが関係あるかもしれないな·····」
宿屋に着いた俺達は、扉を開けると、女将さんが忙しそうにしていた
「女将さん、こんばんわ!1部屋お願いできるか?」
「おや!ジンさんじゃないかい!是非泊まってほしいんだけどね·····今日は満室なんだよ·····」
「満室か·····それじゃ他に行くしか無さそうだな」
「今はどこも満室だと思うよ?野宿する冒険者もいるぐらいだからね·····」
「そんなに冒険者が集まってきてるのか?」
「ダンジョンの影響だろうね、Bランク以上の冒険者がダンジョンに向かえば、その分、依頼書が余ってくるからね·····それにBランクじゃなくても、ダンジョンの荷物持ちなんて依頼もあるからね」
ダンジョンに挑戦する冒険者が増えたことで、ダンジョンに向かうための船を、手に入れることができる港町には冒険者が集まるようだ
「それじゃ、仕方ないな·····また機会があれば泊まりに来るよ!」
俺達は女将さんに挨拶をして、宿を出た
「久しぶりに異空間で寝るか·····」
「そうだね」
人気のない場所で、リオにゲートを開いてもらい、異空間へ移動した
次の日の朝·····
リオと魔力コントロールの修行を終わらせて、朝食を食べている
「そう言えば、『スキル肉・改』が出来上がったぞ」
「嬉しそうだね·····次はどんな能力なの?」
「今回は魔石のおかげで、武術系スキルが取得出来るようになったぞ」
【スキル肉・改】<新たに加わったスキル>
属性強化<土>:Lv.1
剣術:Lv.0.4
槍術:Lv.0.4
棒術:Lv.0.4
斧術:Lv.0.4
「魔石·····味は大丈夫なの?」
「もちろんだ!しっかり味付けをしてるから、リオも気に入るはずだ」
そう言ってテーブルに『スキル肉・改』を取り出す
今回のスキル肉は肉団子にソースをかけたような見た目だ
簡単に言えば、ミートボールを作ってみた
肉はミンチにして肉団子にして、液化した魔石に味付けをしたソースでじっくり煮込んだ
「·····いただきます」
リオがひとつ丸々、口に放り込んだ
「どうだ?美味いだろ?」
「おいひぃー!何個でも食べれるよ!」
満足してもらえたようだ
俺もひとつ食べて、俺達は造船所へ向かった
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