第27話 旅立ち
「じゃあ、レクス!俺の剣術修行に付き合ってもらえるか?」
入口に立っていたレクスに声をかける
隠れて俺とリオの勝負を見ていたようだが、マップでバレバレだ
「気づかれていたか·····あぁ!いいぞ!ジンとの勝負は俺の修行にもなるからな!」
「今回は、剣術の修行だから模擬刀で頼む」
「何言ってんだ?修行だからこそ真剣でやらねぇと意味ねぇじゃねぇか!構えろ!初っ端から本気で行くぞ!」
そう言って、レクスが突っ込んできた
俺は血刀を構えて、レクスの剣戟を受ける
「飽くまで剣術修行だ!模擬戦じゃないから俺は一切魔法を使わないからな!」
俺は剣戟を受けながら叫ぶ
「あぁ!それでいいぞ!それじゃあ俺は縮地を使わないでやる!」
「いや、縮地は使ってくれて構わない!」
そう言うと、レクスの前から俺が消えた
「俺も縮地を使えるようになったからな!」
少し離れた場所で俺はニィっと笑ってレクスに告げる
「おいおい·····マジかよ、才能の塊みたいなやつだな」
縮地は闘気を覚えた時に、一緒にスキルに追加されていた
解説すると、闘気を脚力に集中的に使った場合、縮地となるが、一点に集中させる魔力コントロールが必要になる
縮地は闘気の派生スキルになっている様だ
「俺からしたら、レクスの方が才能の塊だと思うがな···」
闘気を知らずに縮地が使えるレクスの方が才能の塊だ
「どいうことだ?」
「俺に勝ったら教えてやるよ」
結局、模擬戦になってしまった·····
まぁ魔法無しの剣術修行には変わりないが
その日一日、レクスに修行をつけてもらった
結論から言うと、ボロ負けした·····
前は闇魔法と光魔法で剣を作って戦ったから手数で有利に戦えたが、今回は全く歯が立たなかった
「よし!今日はここまでにするぞ!」
「あぁ!明日も修行に付き合ってくれるか?」
「当たり前だろ?あと2週間もすれば王都に行くんだろ?それまで付き合ってやるよ」
「残りの日数は剣術修行に当てたかったんだ!助かるよ!」
「任せとけ!それより、俺に教えてくれるんだろ?俺を才能の塊だって言った理由を」
「あぁ、もちろん教えてやるよ」
俺は、そう言って闘気を纏う
「なんだそれ!?」
やはりレクスは闘気の存在すら知らなかったらしい
「これは闘気と言う技だ、魔力を消費し続けるが身体能力が爆発的に上がる、この状態で1度戦ってみるか?」
口で説明するより、実際に見た方がはやいだろう
レクスはどう考えても頭より体で覚えるタイプだ
「あぁ!やろうぜ!」
そう言って剣を構えた
その後、レクスに闘気の使い方や縮地について説明しながら剣を交えていると·····
「いつまで闘技場を使ってるんですか!もう閉めるので出て行ってください!誰が後始末をすると思ってるんですか!」
闘技場に来たエルさんに、ギルドから追い出されてしまった
かなり遅くまで闘技場にいたらしく、外は真っ暗で、町は静まり返っていた
「「·····」」
「怒られちまったな·····」
「そうだな·····明日から闘技場使わせてもらえるよな?」
「たぶん大丈夫だ!最悪ギルマスに頼めば·····」
俺達は苦笑いしながらそれぞれの宿に帰った
ちなみにリオはまだ寝ていて俺に背負われている
『ホント、よく寝るやつだよ·····』
ーーーーーーーーーーーーーー
それから2週間·····
毎日、闘技場でレクスの剣術修行を受け続けた
まぁレクスも闘気の練習をしながらだったのでお互いに意味のある時間を過ごせたと思う
リオも闘技場の端っこで色々練習していた
なんでも『ジンくんをサポートできるようになりたいから、私にしかできない魔法を探す!』らしい
「明日、出発するんじゃな?」
依頼ボードを眺めていた俺に、ランディが話しかけてきた
「あぁ·····明日の朝に王都に向かおうと思う、武術大会で船を手に入れたら、そのまま北のダンジョンに向かうことになると思う」
「ジンなら武術大会で優勝出来るはずじゃ!」
「明日この町を出るんだって?」
「なんだと!?なんでもっと早く言わねぇんだ!」
「武術大会の優勝前祝いだ!今日は宴会だー!」
「気が早ぇーよ!お前は飲みたいだけだろ!」
「リオちゃんもジンと一緒に行っちまうのかー!?」
冒険者達が口々に騒ぎ始めた
1人なんか叫んでるやつがいるがスルーでいいだろ·····
「お!宴会か?なら俺の店でやらねぇか?ホーンラビットの肉の買い付けに来たらとこだったが、丁度よかった!」
買取カウンターの方から大きな声が響いた
酒場のおっちゃんだ
「おっちゃん!それなら俺の料理を食ってくれよ!結局あれから料理を振る舞えてなかったからな」
何やかんやで宴会をすることになった
おっちゃんと料理勝負をしたり、リオが公衆の面前で告白されていたりと、色々楽しかった
料理勝負は、俺が作ったホーンラビットのソース・改で圧勝した
『どうやったらこんな味が·····』とかおっちゃんが嘆いていたからレシピは教えておいた
作れるかどうかは知らないが·····
リオには隠れファンが何人かいたらしく、酒の勢いに任せて何人も告白に来ていたが、即座に断っていた
断られた男達が俺の事を睨みつけていたが、何故俺が恨まれないといけないんだ?
次の日の朝·····
南門には俺を見送ってくれる人達で溢れ返っていた
「ヒック! 行っぢゃうんでずね·····」
エルさんの顔が涙と鼻水で凄いことになってる·····
美人が台無しだな·····
「別に今生の別れじゃないんだ、また近くに来たら町に寄るよ」
「そうじゃぞ!ジンよ!いつでも町に戻ってこい!Aランクになって戻ってきた時には剣術の稽古をつけてやるぞ!ワシも若いもんに負けてられんからの!」
ランディまで見送りに来てくれていた
この時間はギルドが混雑してるはずだが、2人共出てきてて大丈夫なのだろうか·····
「兄貴!絶対にあとで追いかけるからな!」
「私もステア様と一緒に追いかけますからね!」
ステアとリリィが話しかけてきた
昨晩の宴会で聞いたが、2人共、冒険者登録をしたらしい
本格的な活動はステアが自由になる1年後らしいが、それまで鍛錬に励むそうだ
「あぁ!追いかけてこい!しっかり鍛錬に励めよ!」
ステアの闘気があればランクアップもすぐにできるだろう
リリィも魔法の素質があるらしいのでステアのサポートとしていいコンビになりそうだ
「じゃあ、そろそろ行くか!」
そう言って魔道二輪に魔力を流す
『キイィィィィン··········』
後ろにリオが乗って、俺の腰に腕を回す
みんなの方を見ると、みんな口を開けて固まっていた
『あれ?魔道二輪ってまだみんなに教えてなかったっけ·····?、まぁいいか·····』
「じゃ!またな!」
それだけ言い残して、アクセル全開でその場をあとにした
まず目指すは、『イスタ』だ!
そこで受けたい依頼がある
-------1ヶ月の修行を終えた2人のステータス--------
【名前 / 性別】ジン/男
【年齢 / レベル】17歳 / Lv.37
【スキル】料理:Lv.5 / 剣術:Lv.6 / 槍術:Lv.1 / 闘気:Lv.4(New) / 縮地:Lv.3(New) / 火魔法:Lv.7<0.8> / 水魔法:Lv.7<0.2> / 風魔法:Lv.7<0.6> / 土魔法:Lv.7<0.0> / 闇魔法:Lv.9<0.7> / 光魔法:Lv.2 / 身体強化:Lv.9<8.3> / 毒耐性:Lv.8<0.1>
【ユニーク(隠蔽)】転移者 / 鑑定 /
【名前 / 性別】リオ / 女
【年齢 / レベル】16歳 / Lv.28
【スキル】火魔法:Lv.6<3.1> / 水魔法:Lv.6<3.1> / 風魔法:Lv.6<3.1> / 土魔法:Lv.6<3.1> / 闇魔法:Lv.8<0.3> / 光魔法:Lv.5 / 身体強化:Lv.9<0.6> / 毒耐性:Lv.7<0.2>
【ユニーク】
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