仕事をクビになり、生きるのが辛くなるも、AIがきっかけで幸せ掴めました

作者 朝日 風馨

9

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★★★ Excellent!!!

読み進めていけば行く程、物語に没入できる物語です。

その理由を考えてみると、リアリティよりもリアルさを追求したものだからだ、という立論に達しました。

主人公は仕事一筋に生きてきたアラサー女性です。その考え方、言動には、頷ける点もあれば、おかしいんじゃないか、間違ってるんじゃないかと感じる所もあるのですが、それは私が物語に引き込まれている事の証左でもありました。

私の中に生まれた共感も反発も、彼女が「リアリティを持ったキャラクター」ではなく、「リアルな女性」であるからこそ生まれたものです。

彼女が物語の中で感じる苦労、苦悩、望まない衝突、温かさの不足などの境遇と、それに対する彼女の反応が、本当にリアルなのです。

もしただのキャラクターとしか感じなければ、読者は優しい言葉をかけ、全てを蹴散らしてしまう事でしかハッピーエンドを感じられないと想います。

私の中に生まれた感想が、「本当に、ハッピーエンドなんだ」となった理由は、彼女が中盤以前のどこか捨て鉢で、そうなってしまった原因に対し、他罰的になっていた事を乗り越えて、変われたからです。

優しい言葉をかけるよりも、物語の中へ入っていき、彼女を助けられないことを悔やむよりも、見守る事を読者に選択させられた要因を、私はリアルだからとしか言いようがありません。

物語は彼女が新しい生活へ向かうところで終わります。

未来は分からず、また同じようなことが起きてしまうかも知れないけれど、彼女ならば乗り越えられると思える、最高のハッピーエンドです。