エピローグ

最終話 運命ニモマケズ

(ああ……)


 消えゆく意識の中、宮沢賢治はどうしても心残りだった。


(騙されたとはいえ……とし子に会いたかった)


 散々下半身を露出させられた上、こんな形で終わることになろうとは。


(とし子……とし子……)


 ただただ、そのことばかりが悔しかった――





「おお! 召喚が成功したぞ!!」


 と、いきなり男の声がした。


 ふわふわとした気持ちから一転、どっしんと尻もちをつく。わけがわからないままあたりを見回すと、どうやら広場のど真ん中のようだ。


「は……?」


 手のひらを見る。手だ。手がある。

 光の粒となって掻き消えたはずの身体は、今しっかりと存在していた。


 男が叫んだ。


「皆の者!! 異世界のイキ我慢王者を喚ぶことができたぞ!!」

「「うおおおおおおおお」」


 広場の周りから喜びの声が上がる。賢治は未だ現状についていけていなかったが、聞き捨てならないワードだけは理解出来た。


「えっ今イキ我慢って」

「王者様!」


 賢治を召喚した男が、汗ばんだ手で賢治の手を握った。


「我々を助けてください……性獣ギガントヴァーギナーに国を襲われているのです。あなたのイキ我慢の力があればきっと性獣を倒せるはず」

「えっえっ」

「お願いします! なんでもしますから!」


 ん?


「今なんでもって言った?」

「はい!」

「僕は若くして死んでしまった妹にもう一度会いたいのだが、それも叶えてもらえるのか?」

「はい!」

「間違いなく?」

「はい!」

「騙したりは?」

「しません!」


 賢治は空を仰ぎ見た。なんてことだ。また股間のペンを握って戦わねばならないのか。

 しかし、今度こそ願いを叶えてもらえるのなら――


「わかった、やろう」




 賢治の戦いは、まだまだ続きそうである。



 おしまい

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しごけ!耐えろ!偉人対抗イキ我慢選手権 双葉屋ほいる @hoiru_f

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