008 吹き返し来つる夏風…… 句切れなし、本歌取り

――――――

  初夏の風を


吹き返し 来つる夏風 花のかげ なき木の枝に 緑むすぶか


・ふきかえし きつるなつかぜ はなのかげ なききのえだに みどりむすぶか

――――――――――


[通釈]

 初夏の風を詠んだ歌

 春風が行き去り、吹き返してやって来た夏風は、花なき桜の木の枝に、今度は葉を茂らせるのかなあ。


[補註]

・句切れなし。


―――――

吹き返し 来つる夏風 花のかげ なき木の枝に 緑むすぶか

―――――――


[本歌取り]

  更衣ころもがえを詠んだ歌

177 散りてて花の蔭なきもとにたつことやすき夏衣かな

◯散りつくして、今は花の蔭のない夏木立の下で、裁縫することのたやすい夏の衣であるよ。本歌、古今集巻二(一三四)。

   前大僧正慈円さきのだいそうじょうじえん

『日本の古典 10 古今和歌集 新古今和歌集』河出書房新社「新古今和歌集」、整形引用者。



(令和元年八月一日)(二〇一九年)(夏歌なつのうた

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