【愛リストUP】(14000文字)

第300話

【愛リストUP】(14000文字)


      +ナ・ムーウェン+

 ムーウェンは自分が幼いことを知っている。いかに非力であるかを知っている。だからこそ、つよくならなくちゃいけないんだ、と常に自分を叱咤する。イリス姫と旅をしていたときは、たくさんみんなに助けてもらった。いつも自分が、役立たずのお荷物なのだと落ちこむ日々だった。それでも今は、大事な使命がある。

 ――イリスから託された、大事な使命が。

 それはイリス姫からお願いされた使命であるにせよ、ムーウェンが自分自身で「守りたい」と決めた約束だった。

 ――ボクがボクとした約束なんだ。

 だからもう、誰の助けも借りちゃいけないんだ。

 もっとつよくならなくっちゃいけないんだから、とムーウェンは常に自戒している。

 だが今はもしかしたら、誰かの助けを借りるべき局面であるかもしれないことに、ムーウェン自身、ほんとうは気づいていた。

        ~~五時間前~~

 森の木々の影が、ぐーん、と背伸びをしたみたいに地面を覆っている。自分のブロッコリみたいな頭も、ぐにょーん、と細長の影になっている。陽が傾きはじめ、そろそろ今日という日も暮れようとしていた。こうして夜の足音が聞こえてきてようやく、どうしよう、とムーウェンは途方に暮れた。

「あーらら」ジョエが肩にとまった。「まったくどうしてこんなにも意気地なのかしら。迷子になったのなら誰かに道を尋ねてみればいいじゃない」

「まいごじゃないもん」ムーウェンは弱々しく反駁する。人に道を訊くなんて弱虫のすることだ。

「そんなこと言っちゃってさ」やんなっちゃうなぁもう、とジョエが見下すようにぼやく。とはいえ、彼女は妖精なので、飛ばないかぎりはどうあっても見下ろされることはない。

 地図によるとこの森を抜ければ次の街へと続く石造りの道に出るはずだった。それがこうして森のなかに入ったきり、道そのものが消えてしまった。獣道にでも迷いこんでしまったのかもしれない。来た道を戻るにしても、もはやその来た道さえ分からなくなってしまった。

 見兼ねたようにジョエが助け船を出してくれる。「道、訊いてきてあげよっか?」

「いいよ。だいじょうぶだよ」そもそもその尋ねる人さえいないじゃないか、と泣きそうになる。

「どうして?」とジョエのむっつりとした相槌。鼓膜に響いて、きーん、とくすぐったい。「ジョエならすぐに訊いてこられるよ? ムーくんだって知ってるくせに」

 その通りだ。この妖精はこちらが望んだことであれば大方のことは解決してくれる。巻き物の妖精であるだけに、その知恵はこちらの比ではない。空を飛べることもあり、人のいる場所――たとえば村を探しあてるくらい造作もないはず。

 だからこそムーウェンは、ジョエの助けになるわけにはいかなかった。

「だって、ほんとうにまいごじゃないもの」半ばやけっぱちでジョエの提案を却下する。「ちょっと休んでただけだもん」

 ちょこん、と肩にとまっていたジョエが、ぱたぱた、と飛んだ。顔のまえにくる。腰に手を当てて、

「なら、どうして立ち往生なんてしているのかしら?」

 いじわるな口調で非難してくる。

「どうしてって……」ムーウェンは、ぱふん、と荷物のうえに腰を下ろす。たしかに、道が分からなくなってしまったのは事実だ。でも迷子になったわけじゃないもん。言い淀んでからムーウェンは、だって、と釈明する。「だってさ……ジョエ。ボクはもっとつよくならなきゃいけないんだよ。だからもう、誰にも助けを求めちゃいけないんだ」

「ホンキでおもってるわけ? そんなこと?」ジョエがすっとんきょうな顔をしている。

「おもってるよ。だってそうでしょ?」

「あーらら」こりゃまいっちゃたなぁ、とジョエが、やれやれ、と憎たらしくため息を吐いた。「ムーくんってば、まったく、これだからいつまでも経ってもオコチャマなの」

「オコチャマはどっちだよ」ボクがいないとご飯も食べられないくせに、と胸の奥がモゴモゴする。

「あー、もういいわ。このジョエちゃんがひとっ飛びして訊いてきてあげる。あのね、ひとに道を尋ねることは、弱いことでもなんでもないの。迷子になったことを認めないほうがよっぽど弱虫じゃない」

「……そうかなぁ」

 ボクはそうは思わない、と口にする前に、

「ここで待っててね」

 言い残してジョエは飛んで行ってしまう。

 誰にも頼ることなく生きていくこと、

 それがつよいってことじゃないの?

 自分で何とかしようとがんばってみること、

 それがつよくなるってことじゃないの?

 どう考えてみても、ムーウェンは自分が間違っているとは思えないのだった。

      ◇妖精・ジョエ◇

 二年前。ムーウェンがイリス姫から頼みごとをされたことは知っていた。だが、そのことを彼は話してくれない。イリス姫から何か頼みごとをされた話すら教えてはくれなかった。教えてほしい、と訊けば或いは話してくれるかもしれない。でも、ジョエはそんなことを自分から言いたくはなかった。むかしみたいに、「ジョエぇ、どうしよう」「ねえ、ジョエ。どうしたらいい?」と泣き縋ってくれるまではどうしたってこのジョエちゃんから訊いてやるものか。せいぜい悩んで苦しめばいいのだ。ジョエはちょっぴりむきになっている。

 イリス姫が行方を晦ませてからというもの、ムーウェンはなにかにつけ、「ボクがボクとした約束だから」と言い張ってなかなか悩みごとを相談してくれなくなった。そのくせ弱虫の益体なしのままときたものだから、以前にも増して困難にぶちあたることが多くなった。そのつどジョエが影ながらに手を貸してやっている。

 もういい加減にしてくれ。相談ひとつしてくれるだけでどれだけ手間が省けると思っているのか。つよくなろうとがんばっているのは認めてやるにやぶさかではない。けれど、自分の弱さから目を逸らして、「つよくならなくっちゃ」ばかりでは本末転倒だ。できないことはできない。助けてもらわなければならないことは素直に助けを求める。その結果、責められたって、恥ずかしい思いをしてしまったって、それは脆弱で非力な自分がわるい。そうやって自責しているからこそ、つよくなりたいと望んでいるんじゃないの? それなのに自分の弱さを認められずにいて、どうしてつよくなれるっていうの。ジョエはムーウェンにそう言ってやりたかった。とはいえこれもまた、ムーウェンのほうから、「どうしたらいい? おしえてよジョエ」と泣き縋ってくるまで教えてやらないことにしている。

「まったくもう。ムーくんのわからず屋ッ」

 ぷんぷん、と腹を立てながら、ブンブン、と羽を鳴らす。

 ひと気がないのは街が近くにないからだ。だが、この界隈は川が近い。川を辿っていけば村くらいはあるだろう。どんな村であっても旅人向けの宿はあるものだ。森を抜けるまでの道をそこで尋ねるのも一つだが、今日はもうすぐ陽が暮れる。最近はずっと野宿がつづいていたからムーウェンもだいぶん疲れが溜まっているはずだ。そろそろぐっすり眠れる宿で身体を休ませないとまた病に倒れてしまい兼ねない。

 ――そうだとも。

「こうしてこのジョエちゃんが宿を探してやっているのは、ひとえにジョエちゃん自身のため。ムーくんが倒れていっちばん苦労するのはこのジョエちゃんなの。だからジョエちゃんが困らないように、しかたなーく、いやだなぁ、いやだなぁ、ながらも宿を探してやってるだけのことなのッ」

 誰にともなくジョエは叫んだ。

      ×ジョアン・ファーム×

「納得いかないんだったら身体で分からせてあげようか?」

 きつく脅すと、宿の主がつるりと禿げた頭をこちらに向けて、「か、かんべんしてくださいよ」とヘコヘコ頭を下げてきた。まぶしいからやめてほしい。失明させる気か。ファームはハゲには手厳しい。その影響か、月を好み、太陽を忌んでいる。いや、その逆かもしれない。太陽のようにまばゆいイリス姫。あの娘のことを疎んじているからこそ、太陽が嫌いであり、ゆえに、太陽に似たハゲも嫌いなのかもしれない。

「こら。まぶしいって」ファームは声を荒らげる。あごを上げ、宿の主をどぎつく見下ろして、「まぶしいから二度とこっちに向けないで。そのハゲ頭」

「そんな……殺生なっ。ハゲはわるくないですよっ」

 宿のおやじが唾を飛ばした。ああ汚い。かってに興奮しないでよ。

「わかった。わかったわよ。ハゲはわるくない。いいから、はやく部屋に案内なさい。こちとら疲れてんの」

「いえ、ですからお一人様一部屋との決まりですので、その……」

「人間風情が口答えするんじゃないよ」ファームの苛立ちは沸点を越えた。「さんざん説明したわよねッ。私は両隣の部屋を誰かに使われるのがきらいなの。どこの馬の骨とも知らないヤロウが私の隣にいるってだけで虫唾が走るッ。私が泊ってあげるって言ってんだから、黙って三部屋空け渡しゃいいんだ」

 受付台に、どん、と足を突きあげる。オヤジの首根っこを掴みあげ、

「残った毛、いっぽん残らず抜いたろか、あん?」

「さ、三部屋ですね、かっ、かしこまりましたぁ」

 只今ご用意いたしますので、との言葉をのこして宿の主が階段を駆け上がっていく。その様を眺めてファームは、ったくこれだからオヤジという生き物は、と嘆息を吐く。

 そのとき宿の扉を、ばーん、と開け放って飛び込んでくる小さな影があった。

 ファームは胸で受けとめる。

「むひゃっ」

 珍妙な声をあげたその小さき影には見覚えがあった。

「お、おまえは……」

「いててー」その影は顔を上げた。「はにゃ? あーらら。びっくりだなこりゃ。もしかしてぇ、ファーム?」すっとぼけた顔をゆるめるとそいつは、「えっへへー。げんきだった?」

 ひまわりみたいに破顔するのだった。

 その明るい笑顔が、あの娘と被った。咄嗟に掴み、問い詰めている。

「姫は……あの娘……イリスはどこっ!?」

「イ、イタいッ、イタいってばファーム」

 放してよぉ、と小さき影こと妖精のジョエは悲鳴した。

      +ナ・ムーウェン+

「おそいなぁ」どこまで行ったんだろう。「……ジョエ」

 心配になってきたのは日もとっぷりと暮れてからのこと。すっかり辺りは夜である。焚き火の灯りで真っ暗闇ではないが、道も分からぬ森の中。心細い気持ちはごまかせない。ここで待っていろ、と言われた手前、ここを離れるわけにはいかない。とはいえ、いつまで待っていればよいのだろう。やっぱり探しにいったほうがいいのかも。

「もしかして迷子になったのかなぁ」

 さんざんボクのことを迷子呼ばわりしていたというのに。

 そうと考えると自然と頬がゆるんだ。

 ジョエが迷子になっているとは考え難い。けれど、それはそれでジョエらしくも思えた。

 あの巻き物の妖精は、いつも他人にばかり大きな口を叩いて、そのくせ、自分のことになるととんと抜けているから困ってしまう。こちらが寡聞に耳にしたことのない知識をたくさん持っていたり、何者にも臆さないおてんばぶりは、勇猛で果敢と称しても差し支えないほどだ。ただし、自分の知らないことまでもさも知っているかのように振る舞ったり、後先考えずに猪突猛進してしまう性格にはほとほと世話が焼けてしまう。どうにか直してほしいな、と不平を鳴らしたくもなるが、それらの短所も含めてムーウェンはジョエのことが好きだった。

 これまでなんど助けてもらったことか。そのつど愛想を尽かされて見捨てられてしまうのではないか、とびくびくしていた。それでもジョエはこうしてずっとそばにいてくれる。だからこそ、これからは守られるばかりではなく、ジョエのことを守っていきたかった。

 ――つよくならなきゃいけないんだ。

 ――もっともっと、ボクが、つよく。

 パチッ、と炎が弾ける。いつの間にか、焚き火が消えそうになっている。

 いけない、いけない、とムーウェンは火を絶やさないように枝をくべる。

 と、そこへ、

「ハッハッハ。やあ。少年。ちょいと火を貸してはくれないか」

 のそり、と男が現れた。音もなく、気配すらなかった。

 ただ者ではない。ムーウェンは警戒する。警戒しつつも、「どうぞ」と許可をする。男からは敵意や殺意は感じられなかった。

「いやはや、実に助かる」

 言って男は焚き火のまえに腰を下ろす。炎が姿を照らす。全身をマントに包ませている。顔も布で覆われていて見えない。ただ、そこから覗く眼光は鋭かった。

「これをね、焼きたくってね」

 マントを翻し男は、束ねられた数匹の魚を掲げて見せた。近くの川で獲ってきたのだろう。ピチピチ、ともがく魚は新鮮そのものだ。男は腰の鞘からナイフを引き抜く。焚き火用の枝を手に取ると、しゅくしゅく、と削りだした。

「これで、よしと」

 できた串を魚に突きさし、地面に突き立てる。

 間もなく、香ばしい焼き魚の匂いが立ちのぼった。

「それでは、戴きますと」

 むしゃむしゃ、と男が焼けた魚にがっついた。ずいぶんと美味しそうに食べるものだ。

 唾液が口のなかを満たす。ごくり、と呑みこむ。ほぼ同時に、ぎゅるる、と腹が鳴った。はずかしい。お腹を抱えて背を丸めるしかない。

「おっと。わるいな」気づいた男が、ほらよ、と焼き魚を放ってくれる。「食べるといい。火の礼だ」

 だがムーウェンは焼き魚を、じぃ、と見つめるだけで口にしようとはしない。他人からの施しで腹を満たすなど弱虫のすることだ。そんな考えが胸を満たす。

「遠慮は無用だぞ」男の勧めにも頑なに遠慮した。「いえ。お腹、空いてないんです」

 言うとふたたび腹が鳴る。

「おいおい。毒なんて入ってないんだがな」男が自虐ぎみに笑った。「まあ、いいさ。俺はもう腹いっぱいだ。残りは置いていく。食いたくなければ捨てといてくれ」

「あの、でも」困ります、との言葉は、男の「おいしょ」に遮られた。立ちあがって男は、「なあ、少年」と問いかけてくる。

「おまえさん、なんだってこんな場所で焚き火なんかしてる?」

「それは……そのう」どうしても言葉が濁ってしまう。「旅の相方が、戻って来なくって。迷子になっているんじゃないのかなって……心配なんですけど、でもボク、ここで待っているって約束しちゃってて。だから探しにいくよりかは、ここで待ってたほうがいいかもって……」

「ほう。約束、ねえ」意味ありげに男が唸った。「いいか、少年。約束なんてものはだな、目的のために添えられた枷でしかないのだよ。ときには目的のためにその枷をぶちやぶるってことも必要なのではないか?」

 それはどういう意味だろう。

「オコチャマにはまだ早かったかな」

「ボクはオコチャマじゃないですっ」咄嗟に否定していた。

「そりゃわるかったな」男は緩慢な動作でうしろを指差し、「この先に村がある」と言った。「俺はそこで夜を明かすよ。ここいらは獣もいるし、魔物も出るとの噂だ。野宿は危険だ。それに引き換え、村には宿があるらしいからな。少年、おまえさんはここで相方を待つんだろ? 迷子になってるかもしれない相方を。まあ、それはそれで賢明な選択ではあるだろうが」と男はここで声を太くした。「俺なら心配になった時点で探しにいくけどな。少なくとも、じっとなんてしていられん。少年、おまえさんの相方ってのは、迷子になるほど頼りないのか?」

 まるでジョエのことを知っているかのような口ぶりだ。そう言えばこのキザったいしゃべり方には聞きおぼえがある気がした。

 ――あなたは、もしかして……っ。

 訊き返そうと唇を湿らせているあいだに男は夜の闇にひっそりと溶けこんでいった。

 パチパチッ、と焚き火の炎が弾けている。

 森の奥から届くフクロウの鳴き声がする。

 それらの音が森にある静寂をこわいくらいに際立たせている。

 胸に満ちた心配は、いつの間にか不安へと変わっていた。

「ジョエ……どこなの」

      ◇妖精・ジョエ◇

「ファーム、おねがいっ。ここから出して!」

 鳥籠に入れられてしまってからは成す術もなく、こうして声で訴えるしかなかった。巻き物はムーウェンが持ったままだ。これだけ遠く離れてしまっては魔法も遣えない。

 ここはファームの割り当てられた部屋だ。かろうじて檻の隙間から手や足は出せるものの、身体が挟まってどうにも抜け出せない。手や足が出せないわけではないのに、手も足も出ないなんて、とよくわからないことを考えて、ぷはっと噴きだす。

「笑ってる場合ちがう!」すぐにファームへ向け、なんでこんなことをするの、と訴えを再開させる。

「うるさいなー」ファームがようやく応答した。ベッドに寝そべっている。寝がえりを打っては、「妖精ちゃん。あなたが教えてくれないからでしょ」と睨んでくる。あらゆる非のすべてがこちらにあるかのような言い草だ。「イリスはどこへ消えたの? あなたの主――あの意気地なしのムーウェンが、イリスからなにかを託されていたのは知っているのよ。おおかたイリス姫の潜伏場所でも聞いてたんでしょ? 困ったらいつでも助けてあげられるようにって、あの甘ちゃんのイリスのことだからこっそりあなたたちにだけ教えたんだわ。どう? ちがう?」

 まるでそれが真実以外のなにものでもないと信じて疑わない口ぶりだ。

「なにも知らないってば!」もう何度もおなじことを言わせないでほしい。泣きたくなってくる。「ムーくんだって、イリス姫の居場所を知ってたらとっくに会いに行ってるもの! こっちだって探してるの! あのお姫さまが勝手に消えちゃって、いいめいわくっ!」

 イリスのバカぁ、とジョエの涙腺はついに崩壊した。その涙の矛先はイリス姫ではなく、むしろいつまでも「イリス姫」に囚われてばかりのムーウェンに対する不満だった。

「へえ。妖精ちゃんも泣くことってあるんだ」彼女の口ぶりはどこか、いっしょに旅をしていたころのことを懐かしんでいるふうにも聞こえた。「もっと気丈なコかと思ってたけど」

「ジョエだって」と憤ってみせる。「ファームがこんなに非道で卑怯なことする人間だなんて思わなかった!」

「あら残念。私は人間じゃないのよ、あしからず」

「うるさい! ファームのばか、あほ、まぬけ、ちんどんにゃ!」

「噛んでやんの」

「うるしゃい!」

「また噛んでる」

「もう、だまってよぉ!」ファームなんかきらい、と目を逸らす。「ふんだ。もうぜったいなんにも教えてあげないんだから」

「そ? ならしょうがないわ。妖精ちゃんの主――弱虫ムーウェンに訊くまでね」

 彼女の声はおどろくほど冷たかった。気圧されたわけではないがジョエは念のために断っておく。

「ムーくんだって、こんなことするファームなんかに、なにも教えないと思うかも」

「そ? なら身体に訊くまでよ」

「はれんちっ!」

 反射的に叫ぶとファームが顔を真っ赤にして取り乱した。ベッドから身体を起こし、

「ばかなことおっしゃい」

「あのぉ」と扉が開く。宿のオヤジが顔を覗かせた。「ほかのお客さまのご迷惑になりますので、もう少しお静かに願えたらと……」

「ノックくらいしなさいよハゲ! 除草剤撒くぞ」

「ひどいよファーム……あんなに健気なおけ毛なのに」

 庇ったつもりだったが、ファームに罵倒されたときよりも宿の主は傷ついた顔をした。

「し…………失礼しました」とさびしそうに扉を閉めるのだった。

「あーらら」

 ファームのいじわるな声に、ジョエはしょぼくれる。

 ちりんちりん。

 遠くで鈴の音が聞こえた気がした。

      ×ジョアン・ファーム×

 妖精ちゃんがむっつりと拗ねて大人しくなったのを期に、眠気がじわりと染みてくる。瞼が重い。

 久々に実のある手掛かりと巡り遇った。意識していなかったが興奮は禁じ得なかったらしい。その反動か、ずいぶんと今日は疲れてしまった。

 ふと、我知らぬ間に、うとうとしている。浅い眠りに落ちていく感覚を味わう。

 ――いまごろ黒月姫さまはどうしておられるだろう。

 かつて、いつでも側にいた、けれど今は遠く離れてしまった愛おしい人のことを想う。

 ――あなた様は裏切ったとお思いだろうか。私のことを。

 それはそれで仕方がないとも思う。だが、解ける誤解ならば解いておきたいのも事実だった。

 私はいつだってあなた様のことを想い、お護りいたしております。そのためになら、たとえあなた様との誓いを破ろうとも私は――あなた様を―――どんなことをしてでも――どれほど離れていようとも――いつだってこのジョアン・ファームは――黒月姫さまのことを――お慕い申しております。

 あなた様の許を離れて――イリス姫――あの娘を追うことにしたのも、すべては黒月姫さまのため。

 いえ、これもまた、私の自己満足なのでしょうか。私は私の願いを叶えるために――あなた様の至福を願うばかりに――私は黒月姫さま――あなた様を裏切ってしまいました。

 イリス姫は約束してくれた。私の願いを叶えてくれると。

 黒月姫さま――あなた様に忍び寄る危険を払拭できると。

 あの娘は約束してくれたのです。

 それがもう数年前のこと。

 あれからイリス姫は行方を晦ましてしまった。

 約束は未だ果たされていない。

 このままでは黒月姫さまの許に戻れないどころか、黒月姫さまが危険に晒されてしまう。イリス姫にどういった思惑があるのかは定かではないし、関係のないことだ。どんな事情があるにせよ、あのときの約束は果たしてもらう。

 ――イリス姫。

 私はそなたが憎い。それ以上に、そなたに縋るしかない。

 ――お願いだから、約束を反故にすることだけはよして。

 ファームは祈る。ゆっくりと瞼を開く。開いたことで、ああ、目をつむっていたのだな、と自覚した。

 ぐっしょりと全身に汗を掻いていた。

「だいじょうぶ?」

 檻のほうからジョエの声がする。

「ん?」なにがだ、とそら惚けてみせる。「妖精ちゃんに心配される筋合いなんかないんだけど」

 突き放すように言うと、妖精ジョエがあからさまにむっとした。

「うなされてたよ」

「そ? でも残念。これはいびきよ」

「ふうん。ねえ、知ってるファーム?」妖精が嘯く。「お月さまは太陽に照らされてはじめて夜空に輝けるの」

「だから、なに?」

「それと同時に、この星の影に邪魔をされて、消えてしまうものでもあるの」ねえファーム、とおしゃまな妖精がお節介を焼く。「ファームはお月さまにとっての何になりたいの?」

「さあね」とはぐらかす。お月さまにとってどういった存在なのかは、お月さまが決めることだ。「私はただ……お月さまが夜空にあっても目立たずに済むように、太陽を消してやりたいだけよ」

 私はただ、黒い月を見たいだけなのよ――と、窓のそとの夜空へささやいてみせる。

 はからずも今宵は、ファームの好きな、新月だった。

      +ナ・ムーウェン+

 村らしき明かりが暗闇のさきに見えてきたのは、森のなかをひたすら突き進みはじめてから二時間ほど経ったころだった。かすかな光であっても、視界がひらけたような印象を覚える。

 村のそとを出歩いている者はいない。戸締りされた窓から、仄かな灯りが洩れているだけだ。

 ジョエがこの村にいるかは定かではない。ただし、ジョエのことだから道を訊くならまず村を探そうとしたはずだ。道を訊くだけでなく、食料だとかほかの必需品の補給をするにも都合がいい。

 まずはジョエが一番立ち寄りそうな場所であるところの宿を訪ねてみることにする。基本的に宿は旅人向けのものだ。昼夜問わず門を開いている。

「おじゃましまーす」中に入るが誰も出迎えない。受付にもひと気はない。呼び鈴が置いてあるので鳴らしてみる。

 ――ちりんちりん。

 鳴り終わるよりもさきに、

「し、失礼しましたぁ」

 二階から人の声がした。

 扉の閉まる音がし、

「やれやれ」

 辟易とした様子で、ぷっくりと腹のでた、頭の毛の薄い男が階段を下りてくる。目が合う。

「おやおや、すみません。気づきませんで」

 好々爺然とした、感じの良いおじさんだった。どうやらこの宿の主らしい。

「あのう、ひとつお尋ねしたいのですが」断ってから口火を切る。「今日ここへ、これくらいの」言いながら手で大きさを示し、「これくらいの女の子が飛んできませんでしたか?」

「女の子が飛んできた、ですか? はて?」おじさんは怪訝に首をひねった。「そんなお客さんがいれば覚えていると思うんですけどね。いや、なにせ今日はとんだ目に合ってしまいましてね。もしかしたらいたかもしれないが、記憶にはないですな」

「どうされたんですか」飛んだ目とはどんな目だろう。

「いやね。ここだけの話ですよ」おじさんは声を静め、「わがままなお客さんがおりましてね。お一人様にも拘わらず、部屋をみっつ用意しろ、だなんて横暴なことをおっしゃられるのですよ。隣の部屋に見知らぬ人間がいると思うとどうにも苛立ってしまうようなんですな」

 まるでファームみたいだな。

 おじさんには申しわけないが愉快に思ってしまう。「それはひどい目に合いましたね」

「ええ。それで、たいへん恐縮なのですが、その方にお部屋をみっつご用意してしまいまして、今宵はもう満室なのです。いえ、実際には空室がふたっつあるわけなのですが……」

 おじさんは心底、心ぐるしい、といった様子で項垂れた。

「おじさんはわるくないですよ。だいじょうぶです。ボクはちょっと相方とはぐれてしまって、探していただけなので」

「おや。それはたいへんですな。わたくしにできることがあれば協力してさしあげたいのですが……」

「ありがとうございます」頭をさげてから、「でもお気持ちだけでけっこうですよ」と遠慮した。ほんとうにその気持ちだけで充分だった。あとは自分でなんとかする。ジョエだってそう簡単にへこたれたりはしない。なんたって巻き物の妖精なんだもの。ムーウェンはおじさんにもういちど丁寧にお礼を告げて宿を後にした。

 夜空を見上げる。今宵は星がきれいに輝いている。いつも夜道を照らしてくれているお月さまがないからかもしれない。胸に満ちた不安はいつしか畏怖へと変わっていた。泣きたくなるのをぐっと堪える。

「ねぇ、ジョエ……ほんとうにどこにいるの」

      ◇妖精・ジョエ◇

 はっくちゅん。

 ジョエはくしゃみをする。むずむず、と鼻を擦る。

「こりゃムーくんが、ジョエちゃんのわるくちを言っているな」

「すぐそこまで来てるのかもね。あの弱虫くん」

 ファームの皮肉にジョエは言いかえす。

「ムーくんは弱虫なんかじゃないよ!」

「ふうん。やけにご執心だこと」ファームが立ちあがり、窓際まで移動した。窓からそとの闇を見下ろし、そういえば、とむかしのことを口にする。「そういえばあなたたち、あのころから仲良かったものね」

「うらやましいでしょ」売り言葉に買い言葉のつもりだったが、そうねと珍しくファームが首肯した。「うらやましくない……と言えばうそになるかも」

 かってにしんみりしないでほしい。調子が狂う。

「逢いたいなら会いに行けばいいのに」だれにとは敢えて言わない。「きっと向こうだって待ってると思うけどなぁ」

「逢いたいから会いに行く――できるならそうしたいわよ」

 私だって。

 ファームの声はちいさい。

「でもね、会いに行った結果、相手が不幸になる――そうと判っていても、妖精ちゃんは会いに行けるわけ」

 それはどういう状況なのだろう。いくつか考えてみるが、どれも具体的な想像に結びつかない。

「ファームは今そういう状況なの?」

「私は別にどうだっていいのよ」

 私なんてどうなったっていいんだよ――ファームのその儚げな表情はどこまでも、うすく、うすく、透きとおった刃物みたいにきれいに映った。

「……いいわけないでしょ」弱々しく反駁したのは、ひとえにジョエの自己満足だった。ファームが自分で決めたことなら、それを他人である自分ごときが口を挟むべきではない。ファームのその決意はもう、だれに否定されたところで解けるようなやわいものではなかった。かたく、かたく、がんじがらめに絡まった覚悟がそこにはある。それはどこか、ムーウェンの意気地な「約束」に似てもいた。ともすれば、ジョエがムーウェンのそばから離れられないのと同じことなのかもしれない。

 ――今さら後には引けないのだ。

「イリス姫に会って、それでどうする気なの?」

「簡単なこと」

 ファームは夜空を仰ぎ、そっとつぶやいた。「約束を果たしてもらうだけのことだわ」

      ×ジョアン・ファーム×

 約束を果たしてもらうだけのこと。ほんとうにただそれだけのことなのだと数年前のあの時、ファームは思っていた。それがこんなにも事をややこしくさせるなどとは思ってもいなかった。

 はぁ、とため息。せっかく手に入れたと思った手掛かりも、こうして徒労に終わりそうな予感が漂ってきた。妖精ちゃんは本当に何も知らないのかもしれない。だとすれば妖精ちゃんの主――あの弱虫ムーウェンに訊くしかない。だが、それももしかしたら空振りに終わるかもしれない。なんだかもう、ひどく鬱屈とした気分になってきてしまう。

 そのとき、――かつん。

 窓になにかが当たった。なんだろう、と警戒する。もういちど、かつん、と窓が鳴る。石だ。下から誰かが小石を投げつけて来ている。

「だれ!」怒鳴りつけてやる。だがここからでは真っ暗でなにも見えない。「ちょっと待ってなさいよ、今降りていってあげるからッ」

 ――小石でこのジョアン・ファームさまを呼びだそうなんてどこの野蛮人よ。

 ファームは今しがたまで溜まりつづけていた鬱憤を、「ここで晴らさでおくべきか!」とばかりにぶつけてやろうと企んだ。ドアを開け放ち、階段を駆け下り、宿の扉を無駄にぶち破る。

「どこのどいつよ、なに用よ」

 ぶっとばしてやるから出てきなさい、と見渡してみるが人の気配はない。しーん、と静まりかえっているのはすでに時刻が深夜だからか。いや、それにしても静かすぎる。何者かが息を潜めているかのよう。

「さっさと出てきな」はっきりとそれと分かるような敵意をこめて、「相手してほしいなら、いくらでもしてあげる」

 威圧的に言い放つ。

 風がそよいだ。目にごみが入る。

「んっ」

 慌てて擦る。すぐに目を開く。

 前方五メートルほどの場所に人影がふたつ佇んでいた。さっきまでなかった影。

 大きな影と小柄な影。

「あら……遅かったじゃない」ファームは動揺を悟られないように取り繕う。小柄な影を射ぬくように見据えて、「愛しの妖精ちゃんを助けにきたの?」と皮肉を口にしてみる。「弱虫のくせに偉いわね」

 小柄な影は、ふるふると凍えるみたいに声を震わせた。

「おねがいだよファーム! ジョエを返して!」

      +ナ・ムーウェン+

 宿から飛びだしてきたファームは数年前と比べると幾分もトゲトゲしい雰囲気をまとっていた。むかしはもっと明るくって、それこそ太陽みたいな女性だった。黒月姫をいつもそばで照らしている。そんなひとだった。

 それがどうだろう。

 新月の夜とはいえ、ここまで暗がりに同化して見える。

 夜にあって、夜を塗りつぶしてしまい兼ねないほどの闇がファームの妖艶な輪郭をぼんやりと模っていた。

 沈むような闇の影であるのに、その姿が浮き彫りになっているふうにさえ見える。

 この数年でいったい彼女になにがあったのだろう。ムーウェンは底しれない不安を抱いてしまう。それこそ、ファームに起きている“なにか”ごといっしょに抱え込んであげられたらいいのに、とそう思ってしまう。

 ――ボクがもっとつよければ。

 ムーウェンはそう思うと同時に、「もう二度と他人に頼ったりなんかしちゃいけないんだ」「自分の願いはいつだって自分で叶えなくっちゃいけないんだ」ときつく自分に言い聞かせた。

 だが今はとっくに、誰かの助けを借りるべき局面であったことを、ムーウェン自身、身にしみて痛感していた。

        ~~十分前~~

 宿にジョエがいないとすれば、もうムーウェンにはどうすることもできなかった。

 なさけない。

 なんてなさけないんだろう、ボクは。

 ムーウェンは自分の弱さが、悔しくて、憎くて。

 ぎゅうぅ、ときつく歯を食いしばる。

「ハッハッハ。やあ、少年。また会ったな」

 勃然と声がした。

 見渡してみる。闇の奥から、すぅ、と人影が浮かびあがってきた。それはあたかも存在自体が浮きあがったような登場だった。森のなかで会った人物。魚を分けてくれた、あの男。

 ムーウェンには彼が何者であるのか、その正体にうすうす気が付けていた。

「カズノでしょ? あなたはカズノなんでしょ?」

 イリス姫と旅をしていたとき。共に戦い、共に苦難を乗り越えた仲間。

 ――カズノ・ナス。

「やれやれ、バレていたか」男はマントを翻し、顔を覆っていた布も取り去った。ムーウェンのよく知る顔がそこにはあった。我知れず、ムーウェンは駆け寄り、抱き付いていた。「なんで名乗ってくれなかったのさ! むかしっからカズノはそうだ! ボクをからかって、面白がって……ひどいよ」

「ハハハッ!」なにを言うかと思えば、とカズノはやけに響く声で高笑いした。「あそこで名乗ってしまっては、つまらないではないか」

 ムーウェンは彼を見上げて、「どういうこと?」

「そんなことはどうでもいい。ところで、森でした質問をここでもういちどしておこうか。少年、おまえさんはなんでこんな場所で困り果てたみたいに、ぽつねんと佇んでいたりする?」

「それは……だから」相方が、と言い淀んでしまう。

「ちがうだろ。困ってんなら相談するのが筋ってもんだろ?」

「相談? なにを?」

「あの妖精の行方を知りたいのだろ。だったら俺に訊けば済む話だ」

「ほんと? 知ってるの?」

「ああ」もちろんだ、とカズノが不敵に相好をくずす。「あの妖精はジョアンのやつに捕まってる」

「ジョアン? ファームのこと? ジョエ、ファームに捕まってるの!?」

「そこの宿にいるぞ」

 カズノがあごを振って示した先は、今しがたムーウェンが後にした宿だった。愕然としたこちらの心情を察してか、カズノは満足そうにこう言った。

「ハハハッ! どうだね。イイ男ならではのタイミングで登場したろ?」

      ◇妖精・ジョエ◇

 ドタドタ、と部屋のなかに飛びこんでくる影があった。

 何事かと驚いて、身を丸めて構えると、

「ジョエ、ぶじだった!?」

 馴染みの声がした。

 たった数時間耳にしなかっただけでやけに懐かしく感じられる。ほろり、と緩みそうになる涙腺を、ぐすん、と刺激してきっちり閉める。こんなところで泣きべそを掻くのはこいつひとりで充分だ。ジョエちゃんは死んでも泣いてやらないもんね。

 涙と鼻水で顔面をぐじゅぐじゅにしたムーウェンが、そこにいた。

 どこで手に入れたのやら、握っていた鍵で鳥籠から出してくれる。

「ジョエぇ……ごめんよ。ボクが意地なんて張らずに、もっとはやく助けを求めればよかったんだ」

「あーらら。ムーくんてば素直になっちゃって」毒づきながらもジョエは抱きしめる体を装って、ムーウェンの胸に飛びこんだ。「これじゃまるでオコチャマじゃない」

 どっちがだよぉ、とムーウェンの口答えが聞こえた気がしたけど、今日のところは聞こえなかったことにしてあげた。弱虫で泣き虫のムーウェン。それでも強虫になりたいともがいているムーウェン。そんな彼のことがジョエは大好き。

      ×ジョアン・ファーム×

「ずいぶんとあっさり解放してくれるんだな。意外だよ」あの男、カズノ・ナスがキザったらしく口にした。

「どうせ知らないんでしょ。あの弱虫も」

 だったらここで、お荷物以外のなにものでもないあの口うるさいお節介焼きの妖精を引き取ってもらうに越したことはない。鳥籠の鍵を渡してあげたのは、ただそれだけの理由だった。ファームは自分に対してそうと言い聞かせる。

 さきほど、「ちょっと預かってて」と荷物を放り出して宿に駆けこんだ弱虫ムーウェン。カズノはあのコの荷物をがさごそと漁っている。なにかを取りだし、そのまま懐に仕舞った。もしかしたらそれが目当てだったのかしら、と訝しむが、わざわざ訊くまでもないなと思いなおす。強いて糾弾はしなかった。

 眺めていると、

「イリス姫の居所が知りたいんだってな」カズノが見透かしたように提案してきた。「だったら俺に付いてくりゃいい」

「知ってるの!? あの娘がどこにいるか」

「いんや。俺は知らないが、俺に付いてくればいずれ会える。それは保証してやる。なあ、ファーム。俺の手伝いをしちゃくれないか」

「手伝い?」

「おうよ。イリス姫にも会えて、おまえさんの願いも叶う。一石二鳥の良い話だと思がな」

「なんか、胡散臭いわね。その話」

「無理にとは言わないさ」

「ふうん。納得いかないけど、必ず分からせてくれるんでしょ?」

 ハハハッ、とカズノが不敵に呵々大笑した。

「イイ女ならではの返事だな。――同志よ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます