【緘黙を、森閑を、無関心を】

第299話

【緘黙を、森閑を、無関心を】


 私の頭の中にいる人間は、

 どいつもこいつも馬鹿ばかりだ。


 誰しもが、己が正しいと思いあがっている。


 そんなことは誰だって解っているし、

 そんなことには誰だって思い至っている。

 わざわざ公言しないだけである。

 わざわざ偉そうに口にすることではないのだから。

 彼等は解っていて生きているのだ。解っていて行っているのだ。

 解っていないのは、私の頭の中の人間たちだけである。



 誰しもが、己が特別なのだと勘違いをしている。


 そんなことは誰にだって行えるし、

 そんなことは誰であっても代替がきく。

 わざわざやらないだけである。

 わざわざ行うに値しない徒労に過ぎないのだから。

 彼等はできるけれどやらないだけなのだ。

 言うは易く、行うのも易い。

 容易だからこそ、いつでもできるからこそ、行わないだけなのだ。

 難しいのは、私の頭の中の人間たちにとってだけである。


 ほんとうに

 私の頭の中にいる人間は、

 どいつもこいつも阿呆ばかりだ。

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