【夢想、無想】

第286話

【夢想、無想】


 雲一つ無い、気持ちの良い澄んだ空を見上げ

 この透明な蒼の続くどこかでは

 雲が暗をつくり

 雨が横殴りに降り

 雪が吹き荒れ

 命あるものを凍て付かせている

 などと想像する人はいないだろう


 ましてや

 雪が木々に季節を刻み

 雨が草木に生を注ぎ

 雲が日陰を作り出し

 命あるものたちに

 一時の安らぎをもたらしている

 などとは想像もしまい


 だが想像しても、しなくとも

 行き着くところは、雲一つ無い

 気持ちの良い澄んだ空の下

 土に足をつけている

 ここ、にかわりはない

 それが私にとっての限界であり

 目の前の全てである

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