【洗濯日和は雨季】

第261話

【洗濯日和は雨季】


 どこへ行けば売っているのだろうか

 潜在にこびり付いている汚れを

 剥離させる洗剤は


 この粘々と付着する自尊心

 このざらざらと錆びつく懐疑心

 この濁った糞の色に着色する傲慢

 この嗚咽をも引き起こすどぎつい臭いを発する敵愾心


 どうすればこれらが取り巻く

 綺麗であろう器を

 洗うことができようか


 洗剤を探し求めて

 あっちへうろうろ

 こっちでうろうろ

 と

 歩き回ってみたものの

 汚れが増すばかりであった


 悪臭振りまき、外観損なう

 私を観かねて

 雨が私を洗い流した


 洗剤は既に雨の中へ溶け込んでいる

 私の発した悪臭や

 他者の汚れが洗剤だった

 汚れを落とすには

 それもまた汚れであった


 ああ、これで綺麗になるのだな

 そう思い

 洗われ、現れるはずの器を見ると

 泥水のみが水溜りを創り

 そこには

 なにも残ってはいなかった

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