【思春期、死巡期】

第242話

【思春期、死巡期】


 ずっと続くと思っていた

 途切れることなんてないと、

 そんなことすら思い浮かべることはなかった


 今だって信じられない

 多分、きっと、これからも

 受け入れることはできないのかもしれない

 終わりがあるなんて、

 終わりがあるのに、

 それでも世界は平然と続いていくなんて


 進めることが当たり前で、

 変化し続ける風景を

 追ってみたり

 眺めていたり

 思いを重ねてみたり

 時には、振り返って

 悲しんだり、笑ったりして


 けれど、いつからか

 立ち止まることが多くなった

 思い起こしてみれば、

 知ってからの様な気がする


 僕は消える、必ず、絶対に


 道の周りの風景たちへ、僕が消える前に、もたらした影響は

 けれど、変化し続けて、他の影響へと受け継がれて

 薄くはなるけれど、消えはしないのだ、

 と言い聞かせていたこともあった


 それでも、僕は消える、いずれ、絶対


 消えない影響を

 確かめることも

 見届けることも

 この道がなくなった後の風景の経過も

 この果てしない道が辿り着くかもしれない果て

 その行く末も

 僕は決して見ることはできない


 なのにどうして僕は歩むのだろう

 いずれ消え失せるこの道を

 なぜ歩まなければならないのだろう


 消えることが結末ならば

 消えることは、この道を歩むことの、目的ではないのだろうか

 ならば、早くに迎えることが、最良の選択ではないのだろうか

 それとも、消える前にどれだけ歩んだか

 どれだけの風景を見て、感じて、囁いたか

 その記憶を積み重ねて、抱き歩むことが

 目的なのだろうか


 そもそも

 立ち止まることと、消えることの違いは

 歩むべき道の上に僕が、

 立っているか、いないか

 歩むべく未知の上から僕が

 外れているか、いないか

 続くべき道の先へ僕が

 進まないか、進めないか

 という違いに過ぎない気がする


 立ち止まることと、歩むことの違いは、

 消えるという目的を

 ただ待つか、何かして待つか

 という違いに過ぎない気がする


 歩むことに飽きたのなら

 ただ待つことに

 何の抵抗があるのだろうか


 それはとても

 自然なことではないだろうか

 自然こそが

 それを目的としているのだから


 けれど僕は、

 飽きているわけではないんだ

 ただ、時々虚しくなる

 ただ、心が空しくなる

 ただ、他に目的を探したくなる


 その都度

 立ち止まっている様な気がする


 見つかることなど、ありはしないのに

 思い込むことしか、できないのに


 それでも、また

 歩みだしていく様な気がする


 どうせ消えるのだから、好きな場所で

 と言い聞かせて

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