【視覚・視野】

第182話

【視覚・視野】


 人は複眼を持つべきだ


 事象に含まれる見解は、人がいるだけ存在し、

 状況がもたらす問題は、その状況を見定める主観によって決まる


 その為、我々には常に、多角的な視点が求められている

 その中で、選択と議論と妥協を、繰り返していかなければならない


 トンボは、複眼の総合的な視野によって動いているのではない

 複眼に含まれる一つ一つの目が捉える情報(映像)を比較して、より好ましい情報を選び、それら選抜された情報だけを組み立てているに過ぎない

 得た情報を切り捨てることもある、得ているのにもかかわらず、目を瞑ることもある

 これらを総合的と呼ぶべきではない

 総合的とは、全てを踏まえた上での見解だからだ


 だが、全てを踏まえての、矛盾なき回答など、ありはしない

 故に、総合的である必要はないのだ


 しかしその為には、目を瞑っているという自覚は必要である

 何を優先し、何を諦め、何を捨てたのか、

 そのことから目を逸らしてはいけない、離してはいけない

 忘れてはならないのだ


 それらを見続ける目もまた、複眼には、含まれているのだから

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