【視ざる、着飾る、居座る】

第181話

【視ざる、着飾る、居座る】


 欲深き者よ

 抜け出た殻には何も無い

 壊れた器に詰まりはしない

 欲深さを知に変えよ

 己の血肉に変えて魅せよ

 己を欲せよ、欲深きものを


 弱き者よ

 恐れるのは強きものにあらず

 死のみだと知れ

 強さとは力だ

 力とは暴力に知力に権力だ

 どれかいずれかを得るならば

 まずは知をとれ、地を踏みしめよ

 そのために

 死のみだと知れ


 罪深き者よ

 まずは他者を許せ

 後悔を担うな、反省を荷なえ

 罰は貸せるものではなく

 課せられるものでもない

 まずは許せよ

 それでもお前は許されないが

 それで誰かが許される


 罪無き者など、いはしない

 真意を言えば

 許すことはない

 己の内の許されざる者を

 許されざる行為を

 だが

 堪えねばならぬ、ことを知れ


 鏡に映りし者よ

 貴様は最低だ

 それ以上しか残されていない

 貴様は全てにおいて底辺に位置する


 だがそれは

 大地のような基盤ではなく

 いつの世も、いつ如何なる場でも

 貴様は負を身に纏い

 糞を撒き散らしていることだろう


 それでも貴様は外に出ろ

 壁を登り、いくらかでも

 空広い、花木生い茂る大地へ向けて

 陽の降り注ぐ広野でこそ

 糞は肥料になり、循環に加わり

 負は負に出会い、駆け巡ることで

 正となり、生を持つ


 しかし

 壁をよじ登る結果、得られるものが

 到達は難しいだろう

 という絶望だけかもしれない


 だが貴様はそこにいて、底にいる

 これ以上落ちることはない

 それ以上しか残されていない

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