【鎖。縛。錆。】

第180話

【鎖。縛。錆。】


 夢という名の明日を生きて

 幻想という名の今を生き抜き

 思い出という名の過去に縋り

 自分という名の世界に塗れる


 それ以外に術はない

 流されない為には

 沈まない為には

 錆び付いた鎖の波が渦巻く世界に

 溺れない為には


 断ち切ることは許されない

 浮上ることでしか、息をつく術はない

 泳ぐことでしか、行き着く道はない

 苦しいのなら、もがくしかない


 脂ぎった我執を纏って

 浮輪のごとくしがみつき

 船と化すまで掴み続ける

 中身の無い、張りぼての世界に


 嫌になれば沈めばいい

 さもなくば、火を灯せ

 覆い尽くす油に、身体に、そして意地に

 熱と光と分解の結合をへて、一瞬の栄冠を

 炎となりて、燃え尽きろ


 そうだ、抗いの跡を遺せ

 荒波の鎖に

 錆び付いた鎖に


 跡へ続け、後に続け

 先人たちの抗いが残した錆び

 浸食という名の革命の糧となりて

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