【風と言葉と心像と】

第158話

【風と言葉と心像と】


 知らない風が吹いていた

 懐かしみを忘れた風だった


 快晴であるはずの空は澱んでいる


 空の奥に潜む紺

 海に映る蒼

 私の彩りを限定する透明


 それぞれの色との間に靄がかかっている


 幾分かの遮断された光は

 影へ還元され

 藻は育つ


 黴ではないはずのその藻は

 靄の陰りに隠れ、栄え

 無数の胞子を風に忍ばせ放つ空は快晴


 過去にならぬ風は懐かしみを持たない

 止まない風に過去はない


 矛盾連鎖の跡が残る

 私の器に今日は

 宿らない

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