【寝ることは、死の予行演習】

第149話

【寝ることは、死の予行演習】


 生きることに飽きたのなら、甘美な死を求めればいい

 死ぬことをまだ、怖がることができたなら

 生きることをまた、感受すればいい

 飽きるまで、飽きるまで

 この死を右手に、この生を左手に

 手を繋いで、手を繋ぎ合って

 ないまぜにして、ごちゃまぜにして

 ひとつに、塊に

 攪拌して、拡散して

 周りに、身体に、

 ひとつを世界に、世界の一つに


 いつの日にか、意識の外からやってくる、私たちの死

 いつの日にも、いつの間にか側にいる、私たちの死

 いつの日でも、突然に訪れてくる、私たちの死

 僕は、笑顔で迎えてやれるだろうか

 私は、挨拶をきちんとできるだろうか

 一日の終わりのように、すこやかな眠りへ

 明日を夢見る赤子のように、温もりに満たされて

 きみの、その記憶に留まることが、生きる理由になり得たから

 おやすみなさい

 おやすみなさい

 今日はいい夢を、みられそうです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます