【幸福な孤独】

第146話

【幸福な孤独】


 おはよう。

 と音に出してみても

 返ってくるのは

 無機質なまでの沈黙で

 次に続く音達は、皆私を

 包んではくれなかった


 眺めた窓の向こう側は

 朝には雨だった空が

 今は雪を落としている


 黒板とチョークの

 コントラストよりも鮮明に

 それでいて

 夜と朝の境目ほど曖昧に

 私と私以外の世界は

 確実に区切られていながらも

 彼らを取り巻く何物よりも

 強く意識され認識されている


 無視されながらにして私は

 いつだって彼らの内側にいる

 孤独を感じさせられながらにして

 自らは選ぶ事の出来ない孤独

 悲哀なメビウスの輪をさ迷う私


 淡く白桃だった木々が

 深緑に染まり終わる頃


 繋がりの一切ない世界で

 孤独になる事が唯一の

 幸せだと悟った私を

 今日も空は見下ろしている

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